[イベントレポート]

SAPがソーシャルにらみB2B2Cを強調、HANA核にしたクラウド連携を強化─SAP SAPPHIRE NOW 2013

2013年5月16日(木)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

独SAPは2013年5月14日(現地時間)から16日にかけて、同社の年次イベント「SAPPHIRE NOW」を米フロリダ州オーランドで開催した。初日の基調講演では、「B2B2C」(企業対企業対個人)を強調し、同分野でのソフトウェア・リーダーを目指すとした。

「SAPはB2B2C分野において、ソフトウェアのリーダーになる。そのため、ユーザー・エクスペリエンス(体験)を最重要課題に位置付けている」──。SAPPHIRE NOW初日の基調講演に登壇したCo-CEOのビル・マクダモット氏は、こう宣言した。

ここでいうユーザーとは、一般消費者や従業員のこと。FacebookやTwitterに代表されるソーシャルネットワークの時代にあっては、スマートフォンやタブレット端末を介してつながっている個人にどうリーチしていくかが事業機会の拡大につながっていくとの主張である。

試合の“見える化”でファン層を拡大

マクダモット氏が基調講演で訴えたのが、ソーシャル対応の重要性だ。米タイムズ誌の特集記事『Me Me Me Generation』を取り上げ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでのつながりが最も強い世代の考え方を知り、彼らのニーズに応えることが事業拡大につながるとする。

具体例として、SAPが25業種目として本格対応するスポーツ&エンターテインメント産業を挙げる。各種のデータを駆使し、試合における選手の動きや、これまでの試合における活躍度合いなどを種々のデータを使って“見える化”したり、会場チケットの販売状況を細かく知らせたりすることで、ファンの期待に応えると同時に、新たなファン層の拡大、ひいては各種売り上げの増加に結び付ける。

基調講演には、NBA(全米バスケットボール協会)の副コミッショナと、アメリカンフットボールチームのサンフランシスコ・フォーティナイナーズ(SF 49ers)およびスポーツウェア・メーカーUnder Armour(アンダーアーマー)のCEOが登壇し、それぞれがデータをどうビジネスに活用しているかを紹介した。

例えば、49ersでは、撮影の中継画像に選手のプロフィールや、ゴールまでの距離などを重ね合わせて表示し、試合進行の理解を深められるようにしている。しかも、その映像は観客が所有するタブレット端末などでもみられるという。Under Armourは、選手の心拍数や呼吸数、動作の加速度などを取得できるセンサーをNFLなどに提供する。こうしたデータも、試合を”見える化”したり、あるいは選手の健康状態を把握したりするために利用しているという。

HANAのスピードがリアルタイム対応につながる

こうした顧客対応を実現するためのキーテクノロジが、SAPがここ3年間取り組んできたインメモリー・データベース「HANA」であり、クラウドやモバイル/キュリティだとする。すなわち、センサーデータやSNSから得たコメントなどの非構造データを含むビッグデータを分析処理し、その結果を多くの顧客にモバイルで届ける。そこでは、試合状況など進行中の事柄を扱うためには、HANAが持つ高速処理によるリアルタイム性の確保が不可欠だというわけだ。

また一般消費者ではなく、従業員など社内スタッフを対象にしたパーソナライズの例としては、タレントマネジメントを挙げる。基調講演に登壇したUnder Armourでは、SAP傘下のSuccessfatorsが提供するSaaSを使い、各人の経歴や保有するスキルなどのデータを可視化することで、最適な人材確保・配置につなげているという。

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