スマートデバイスを活用して、外出先から社内の業務システムにアクセスしたい。そんな希望を手っ取り早く、しかもセキュアにかなえるのが、今回紹介するスマートデバイス向けリモートデスクトップアプリだ。
スマートデバイスを使って、外出先からメールやグループウェアを閲覧したい。勤怠申請や経費精算のために、わざわざオフィスに戻るのは馬鹿げている。そんな意見を従業員から寄せられた時、どう対応するべきだろうか。
本格的な業務用途であれば、デスクトップの仮想化や、業務システムのモバイル対応などが今後の一般的なアプローチだが、時間もコストもかかる。もっと手軽な選択肢が欲しいと考える読者も少なくないはずだ。
今回紹介する「リモートデスクトップアプリ」を使えば、そうした悩みを解決できるかもしれない。文字通り、スマートフォンやタブレットを使って、外出先から自宅や会社のPCにリモートログインし、ファイルを閲覧したり、アプリケーションを利用したりできるようにするアプリだ。
これまで、PCの分野では、運用支援やカスタマーサポートの用途でリモートアクセスツールが提供されてきたが、そのスマートデバイス版とも言える。
当初は、個人の生産性を向上させるツールとして、コンシューマ向けアプリが先行した。だがスマートデバイスの企業導入が進むにつれ、法人向け製品が増えているのだ(表1)。
Windowsアプリをタブレットで利用可能に
最大の特徴は、導入のしやすさ。基本的に、既存のアプリケーションに手を入れたり、システム構成を変更したりする必要がない。価格も月額5000円〜1万円前後と比較的手頃だ。ワイズテクノロジーが提供する「Pocket Cloud リモートデスクトップ」を例にして、利用イメージを説明しよう。
まず、利用者は、ユーザーアカウントを作成する。次に、スマートデバイスにクライアントアプリを、PCにエージェントソフトをそれぞれインストールする。クライアントアプリを立ち上げると、自動的に中継サーバーに接続するので、ユーザーIDとパスワードを入力する。利用したいPCを選択すると、その画面がアプリ上に表示される仕組みだ。
PCとスマートデバイスの間では、キーボードやマウスなどの入力情報と、画面や音声だけをやり取りする。リモートPCのデータを、デバイス側にダウンロードすることはできないため、デバイスを紛失したり、マルウェアに感染したりしても、情報漏洩のリスクが少ない。
デスクトップ仮想化と違って、PCやOSを管理する手間は残るし、スマートデバイス向けに作り込んだアプリと比較すると、操作性の点でも見劣りするが、スマートデバイス活用の幅を手っ取り早く解決する手段として、検討する価値はある。
「AccessやVBなど、Windows 向けに作り込んだ業務アプリを、タブレットから利用できるよう導入した事例も増えている」(NECの二宮淳マネージャー)。
スマートデバイスとPCに専用ソフトを導入
以下、基本的な仕組みを見ていこう。システム構成をまとめたのが図1のAである。主な要素は3つある。
クライアントアプリ
1つめは、スマートデバイスにインストールする、クライアントアプリ。PCから送られたデータをもとに、画面表示や音声を再現。キーボードやマウスの操作情報をPC側に転送する。
各製品は、PCとスマートデバイスの入出力装置の差を埋めるべく、ソフトキーボードや、ソフトマウスなどに工夫を凝らす。
エージェント
2つめは、リモートアクセスしたいPCにインストールするエージェント。スマートデバイスでの操作情報をOSに伝える。また、画面表示や音声などのデータをスマートデバイス側に転送する。製品によってはエージェントを使わず、Windowsが標準装備するリモートデスクトップ機能を用いるものもある。
中継サーバー
3つめは、中継サーバー。どのユーザーが、どのPCにアクセスしてよいか、アクセス権限を管理する。中継サーバーによる認証をクリアすると、クライアントアプリは同サーバーを介して、エージェントとデータをやり取りできるようになる。基本的に、中継サーバーは製品を提供するベンダーが運営する。ユーザーは新しくサーバーを用意する必要はない。
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