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メインフレーム最新事情[国産編]NEC、日立、富士通は外部連携や災害対策を強化

2013年9月17日(火)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

「月額使用料は数百万円から」が相場のメインフレーム市場にあって、日本IBMが買取価格を790万円からにした製品を発表した。ビッグデータ処理やモバイル連携などにも対応し、クラウドの高可用性基盤としての地位確立を目指す。他社を含め、メインフレームの最新事情を調べた。以下では、NEC、日立製作所、富士通の日本ベンダー3社の製品を紹介する。

新規アプリはオープンシステムに委ねる国産勢

 IBMとユニシスが進める、オープンシステムとのハイブリッド化やシステム/アーキテクチャのFBA(Fabric based Architecture)対応(関連記事『クラウド時代のメインフレーム像(海外ベンダー編)』)。こうした動きに対し、富士通、日立製作所、NECの国産メインフレーマ3社は模様眺めの様相だ(表1)。

表1:日本で販売されている主なメインフレームの最新機種または旗艦機種の主な仕様

 各社ともに、「最先端のアプリケーションには、オープンサーバーで対応する。メインフレームは既存資産をしっかりと守り、両者の連携により企業が求めるシステムを実現していく」のが基本的な考えだ。3~4年周期のモデルチェンジを想定している(図3)。

図3:国産メインフレーマ3社は、メインフレーム環境とオープン環境を分け、アプリケーションニーズに合わせて両者を連携させる

図3:日本のメインフレーマー3社は、メインフレーム環境とオープン環境を分け、
アプリケーションニーズに合わせて両者を連携させる


その過程で各社が共通に強化を継続するのが、CPU性能の向上と災害対策機能の強化だ。既存資産の保護を最優先し新規アプリケーションが増えないメインフレームでは、CPU能力は横ばいで十分だとも言える。CPU性能を高めたメリットは、設置面積の縮小や、冷却装置の小型化・廃止による電力使用量の削減などに利用する。

 一方、災害対策機能については、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、「顧客ニーズが大きく変化した」(富士通エンタープライズサーバ事業本部基幹サーバ事業部の立石覚事業部長代理)という。「本番系とバックアップ系を、より遠隔地に設置したいとの声が強まった。金融機関に対しては監督官庁からの要求もある」(同)ためだ。

写真:NEC、富士通、日立製作所のメインフレームの旗艦モデル

NEC:自社開発プロセサに回帰、無停止に向けた保守性を強化

 NECの最新メインフレームは、2012年9月から出荷している大型機の「i-PX9800/A100」である。自社開発するCMOSプロセサ「NOAH-6(NEC One chip ACOS HW engine-6)」を搭載し、専用OS「ACOS-4/XA」を動作させる。ACOSはIBM互換ではない。中・小型機として、インテル製プロセサを搭載し、専用OS「ACOS-2/MP」が動作する「i-PX7300W」もある。

 NOAH-6は、NECが約10年ぶりに開発した独自プロセサだ。前世代のNOAH-5は2001年の開発である。その間、NECはインテル製プロセサItaniumを採用し、ACOS-4のほかに、HP-UXとRed Hat Enterprise Linux、Windowsを動作させるハイブリッド対応を進めてきた。その後にインテルのXeonプロセサが性能面でItaniumより優勢になったことなどがあり、自社開発プロセサNOAHへ舵を切り戻した。信頼性の面でも、全部品をモジュール化し、オンライン中にファームウェアをアップデートできるようにもしている。

 NOAH回帰の理由を、2012年6月のi-PX9800発表時には、「大型機に対し、より高い性能が求められているため」とした。i-PX9800/A100の性能は、それまでの最上位機だった「i-PX9000/A300」の3.5倍に高まっている。2012年10月には、三井住友銀行が次期勘定系システムに、i-PX9800/A100を採用したと発表している。

 同社のビッグデータ対応データベースである「InfoFrame Relational Store」を接続すれば、非定型データを組み合わせた分析ができる。「OpenDataAccess/Server」を介し、基幹系データをInfoFrameに送る。モバイル対応では、ブラウザ経由でのアクセスを実現しているが、さらに「スマートフォンやタブレット端末に最適化したアプリケーションの構築を可能にする仕組みの実現を検討している」(NECの塚本祐士プラットフォームビジネス本部ACOS担当部長)と話す。

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