「月額使用料は数百万円から」が相場のメインフレーム市場にあって、日本IBMが買取価格を790万円からにした製品を発表した。ビッグデータ処理やモバイル連携などにも対応し、クラウドの高可用性基盤としての地位確立を目指す。他社を含め、メインフレームの最新事情を調べた。以下では、日本IBMと日本ユニシスの海外ベンダーの製品を紹介する。
日本IBM:マルチOSの一元管理で運用管理費削減を強調
日本IBMがメインフレームの最新機種「IBM zEnterprise BC12(以下、zBC12)」を2013年9月21日から出荷する。13年中は処理能力が50MIPS(百万命令処理/秒)の最小構成機種を買い取り価格790万円(税別)で販売する。日本のメインフレーム市場の相場が、「OS込みの月額使用料が数百万円から」という中で、同社の独自メインフレームOS「z/OS」の月額利用料、約50万円を加えても、まだ“破格”だと言える(表)。
日本IBMのマーティン・イェッター社長は、7月24日に開いたzBC12の発表会において、「世界市場ではIBMのメインフレーム事業は伸びている。顧客は、可用性、信頼性、セキュリティ、そして拡張性を求めているからだ。zEnterpriseは、こうした顧客ニーズに対応した新しい価値を安価に提供する“プレミアム製品”だ」と強調した。
zBC12は、中・小型に分類されるメインフレームで、12年8月に発表した旗艦機種「zEnterprise EC12(以下zEC12)」の拡張性を抑えたエントリー機になる(図1)。アーキテクチャや動作するOS、利用できる機能などは基本的に共通だ。CPUは、専用の64ビットCMOSプロセサで、同社のUNIXサーバー用プロセサ「POWER」と製造技術を共有している。動作周波数はzEC12が5.5GHz、zBC12は4.2GHzである。

同機種を含む同社の全プラットフォームが採用する「Fabric based Architecture」
の概念
zEnterpriseは、「チャネル」と呼ぶI/O処理特化の専用プロセサや仮想記憶によるメモリー空間の拡大など、限られたコンピュータリソースでもアプリケーションを動作させるための仕組みを持っている。既存アプリケーションを継続して稼働させるだけなら、プロセサ数やメモリー容量を大きくする必要性は低い。
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