BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの姿が大きく変わってきた。データに潜む「なぜ」を追求し、そこから現場に“行動”を促すための機能強化が進む。具体的には、手持ちのExcelデータを組み合わせて分析したり、分析結果をSNSで共有したりである。
「従来型のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールは“自己矛盾”を抱えており、事業に直結するような発見を導けなかった。それが今は、矛盾を解消できるようになり、現場の行動につながるデータ分析が可能になってきた」─。最新のBIツールの特徴について、ベンダー担当者の誰もが、こう強調する。──
従来型のBIツールとは、基幹システムからデータを抽出し、分析用キューブやデータウェアハウス(DWH)を構築。それらを分析してデータに潜む売れ筋や業績低迷などの原因を導き出す仕組みのことである。そんな従来型BIツールが抱える“自己矛盾”とは何か。
「BIツールの自己矛盾を解消する」をうたい文句にBI市場での存在感を高める「QlikView」を販売するクリックテック・ジャパンの小澤弘ソリューション・コンサルティング本部長は、こう説明する。
「分析用キューブは、『どんな分析がしたいか』という要求に沿ってIT部門が事前に定義する。そのため利用部門に『どんなデータがあれば、コストが下がったり生産性が高まるのか』などを質問するが、現場にすれば『どうすれば儲かるか』を尋ねられているようなものだ。それが分からないからBIに期待するわけで、事前に定義したデータからは、想定できる結果しか導き出せない」。
手元にあるExcelデータとの突き合わせが可能に
従来型BIの自己矛盾を解消するには、分析をしたいときに必要なデータを探し出す、あるいは、関連性があるのかどうかすら分からないデータを突き合わせ試行錯誤によって分析を進める方法が考えられる。
これを可能にするBIツールが増えている(38ページの表)。QlikViewや米タブローソフトウェアの「Tableau Desktop」といった後発組はもとより、CognosやBusinessObjectsなど従来型とされるBIツールにおいても、例えば米IBMの「Congnos Insight」や独SAPの「SAP Visual Intelligence」など、同等の機能を実現する製品が追加されている。
いずれの製品も、ETL(データの抽出・変換・挿入)の機能を持ち、外部データやPC上にある手持ちのExcelデータを読み込み、ドラッグ&ドロップといった操作で、複数ソースのデータを突き合わせたり、分析したい項目を選択したりする。事前のヒアリングから要求定義、分析用キューブの設計までを分析者自らが繰り返し実施することで“自己矛盾”の解消を図っているわけだ。
特に、手持ちのExcelデータを取り込める点が利用部門にとっては重要という。データ分析に長けた現場の担当者は、なにがしかの独自データをExcelなどで管理しておき、それを従来型BIツールから得られるデータと突き合わせてきたからだ。最新のBIツールは、ここに対応することで、利用部門の試行錯誤しながらの分析を支援する。ベンダー各社はこれを、「セルフBI」や「アドホックBI」あるいは「データ・ディスカバリ(探索)」などと呼んでいる。
●Next:セルフBI台頭の背景、主要BIツール製品比較
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