情報システム子会社を親会社に統合する─。その道のりは必ずしも平坦ではない。DICが2012年3月に発表した子会社統合はどんな壁に直面し、課題をどう克服したのか。統合に至るまでの経緯を聞いた。 聞き手:本誌副編集長 川上 潤司 Photo:陶山 勉
- 小田 滋 氏
- DIC 情報システム本部 本部長
- 1977年にDIC(旧大日本インキ化学工業)入社。事業部で新製品の開発に携わった後、原料部門で調達組織の立ち上げと購買情報を活用したDWH構築に関わる。2001年に情報システム部門に配属後、2009年にはDICインフォメーションサービスの代表取締役社長に就任。現在はDICの情報システム本部長を務める
- 伊東 英文 氏
- DIC 情報システム本部 グローバル情報システムグループ 担当部長
- 1985年にDIC(旧大日本インキ化学工業)入社。入社と同時に情報子会社へ出向する。物流や生産管理システムの設計/開発に従事。2002年には東南アジアや中国の関係会社へのERP導入プロジェクトに参画する。シンガポールやタイ駐在を経て、現在は世界をまがたるIT組織の確立や整備に務める
- 高橋 啓志 氏
- DIC 情報システム本部 ITガバナンスグループ 担当課長
- 1995年にDIC(旧大日本インキ化学工業)に入社した後、情報子会社に出向。メインフレームの運用基盤の整備や物流系システムの開発や保守などに携わる。2009年より人材育成や開発生産性の向上に向けたプランを推進する。子会社の本体統合後は、グローバルのITガバナンス実践に向けた取り組みに従事する
─ かつて設立したシステム子会社を今後どうしていくのかという問題に多くの企業が悩んでいます。貴社の場合は子会社のDICインフォメーションサービスを、2012年7月に親会社であるDICに統合しました。こうしたケースはほぼ皆無に近く、一体どうやったのかに興味を覚えてお訪ねしました。
小田:まずはシステム子会社を設立した経緯からお話ししましょう。DICインフォメーションサービスが生まれたのは1985年のことです。当時は銀行を筆頭に大型開発プロジェクトが目白押しの時期で、当社に限らず情報システム部門を子会社化するのが流行りでした。当社も多分に漏れず、DICから情報システム部門を切り離しました。仕事は親会社であるDICからのものがほとんどで、メインフレームの保守やプログラムの開発などが主でした。
─ 30年近くの歴史を持つ子会社を親会社に統合しようと思ったきっかけは?
伊東:当社は海外の売上比率が高く5割を超えています。そのため海外の関連会社も多い。こうした拠点ではシステムが独立し、各々が使いやすいシステムを導入/運用するといった状況でした。
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