[ユーザー事例]

ブリヂストン、ERPをカスタマイズして、タイヤ受発注出荷システムを刷新

2013年11月1日(金)吉田 育代(フリーランスライター)

イベントの事例セッションをピックアップして、お届けする「事例セッションピックアップ」。日本マイクロソフトが2013年10月23日に開催した「Microsoft Dynamicsフォーラム 2013」のレポートは今回で終わり。ブリヂストンの海外タイヤ事業業務室 海外業務部長 武末重義氏と、システム企画部長 森克己氏による講演をレポートする。同社は、自社独自の業務ルールに合わせて、ERPパッケージをカスタマイズ。海外拠点のシステムを標準化した。

写真1:ブリヂストン 海外タイヤ事業業務室 海外業務部長 武末重義氏
写真1:ブリヂストン 海外タイヤ事業業務室
海外業務部長 武末重義氏

 タイヤメーカーとして知られるブリヂストンは、創業当初から海外ビジネスを志向してきた。タイヤの製造に必要な天然ゴムは海外から調達するため、外貨を稼ぐ必要があったのだ。その動きは2006年に米国ファイアストン社買収を契機として一気に加速、現在では世界20ヶ国に生産拠点を置き、150ヶ国以上に販売を展開するまでになっている。

 そんな同社が昨年、新たに構築したのが海外タイヤの受発注出荷システムである。海外ビジネスにおける三国間取引を管理する。ここでいう三国間取引とは、海外拠点で生産した製品をひとまず日本本社が買い取り、それを最終需要国へ転売する仕組みだ。このような体制を取る理由を、株式会社ブリヂストン 海外タイヤ事業業務室 海外業務部長 武末重義氏は次のように語る。

「為替計算が過度に複雑化することを防ぎ、製品の一物一価を守るためである。商流自体に日本本社が介入し、情報の流れを押さえる目的もある。当社はCSR経営を標榜しており、輸出入業務でコンプライアンスを遵守する上でも重要なビジネスルールとなっている」。

 この業務を遂行するIT基盤が、海外タイヤ受発注出荷システムである。従来は、メインフレームおよびクライアント/サーバー型システムで稼働する周辺システムで構成していた。システムインタフェースは全部で10以上になる。海外に生産拠点を追加するたび、これを現地の事情に合わせてカスタマイズして導入していた。

 しかし、それぞれ国も違えば文化、商習慣も異なるため、日本で作り上げた仕組みをそのまま守ってもらうのは困難だった。放置すれば、システムを敬遠して、現地独自の業務フローが作られてしまいかねない。それを防ぐため、グローバルレベルで遵守可能な業務標準を策定する必要性を感じていた。

 きめ細かく業務を支援する仕組みも喫緊の課題だった。たとえば大量の注文が集中した場合、どの国向けのどのタイヤを優先して作って出荷すべきか。勘と経験に依存せず、業務を効率化する方法も模索していた。

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ブリヂストン / 製造 / ERP / 基幹システム / 受発注管理 / 自動車

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