事業部門主導で、拠点ごとに個別構築してきた基幹システム。海外拠点ごとにシステムを個別構築すると、現地の事情を柔軟に取り入れられる半面、重複投資が発生し、ガバナンスも難しくなる。全体最適を目指すなら、「局地戦」から脱却せざるを得ない。DNP(大日本印刷)グループは、複数の海外拠点で共同利用可能なクラウドサービス型の基幹システムを構築、新規拠点から順次、巻き取る試みを始めた。プロジェクトの指揮を執った、DNP情報システムの宮本和幸 執行役員に話を聞いた。 聞き手 : IT Leaders編集長 川上潤司 (文中敬称略)

執行役員兼システム技術本部長
宮本 和幸 氏
――まずは、今回のプロジェクトの概要を教えて下さい。
宮本: 海外拠点用の基幹システムをクラウド基盤上に構築しました。各拠点から、ネットワーク経由で共同利用します。ERPパッケージのソフトウェア以外、サーバーやストレージなどのインフラは用意する必要がありません。今後、新たに開設する海外拠点から順次、利用を始める予定です。すでに、2013年に新設したベトナムとマレーシアの製造拠点で運用を開始しています。
基幹システムの構築に合わせて、Windowsの脆弱性対策や、ウィルス対策、ファイルサーバー、セキュリティ認証など、共通性の高い機能も「DGSP」と呼ぶクラウドサービスとして提供するようにしました。今後も機能の拡張を続けていきます。
――これまで、海外拠点のシステムはどうしていたのですか?
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