[調査・レポート]

アベノミクスなのにIT投資はマイナス成長!? NRIとIDCジャパンの市場予測

2014年3月4日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

2014年のIT投資はマイナス成長――。こんな調査結果を野村総合研究所(NRI)とIDCジャパンが相次いで発表した。IT関連企業のみならずユーザー企業の情報システム部門にとっても、気になる数字かも知れない。

 具体的には、(1)ITは事業遂行に必須で差別化要因につながると考える企業を「コア・基幹(回答企業の33.7%)」、(2)ITは事業遂行に必須だが差別化要因ではないと考える企業を「非コア・基幹(同37.9%」、(3)ITは事業遂行に必須とまではいえないが差別化要因であると考える企業を「コア・非基幹(同19.9%)」、(4)ITは事業遂行に必須とはいえず差別化要因でもないと考える企業を「非コア・非基幹(7.5%」と分類した。少々、分かりにくいが、(1)は金融業や流通業の一部、(4)は1次産業の一部と捉えるとイメージできるだろう。

 2極化の結論は、この分類から推察されるとおりで、ITをコア・基幹と考える企業と、非コア・非基幹と考える企業は、IT投資やITの位置づけに大きな差が出てくるというものだ。一例が「重視するIT活用テーマの違い」。ITは「事業・サービス創造支援に重要」とする回答は5段階評価で、「コア・基幹」が3.948、「非コア・非基幹」が2.406と大差がついた(図3)。

図3:重視するIT活用テーマの違い
 

 比較的新しいITの導入・活用についても、当然のことながら差がある(図4)。こちらは4段階評価である点に注意が必要だが、SOAについては「コア・基幹」が0.953、「非コア・非基幹」が0.372。プライベートクラウドは「コア・基幹」が1.929、「非コア・非基幹」は1.136といった具合である。

図4:新技術導入の違い
 

 先に「違和感」と書いたことの一つは数字の低さ。「仮想化ソフトを導入していればプライベートクラウド」とした時、2013年末時点で「コア・基幹」の数字が2.0弱という結果は低すぎるのではないかということだ。SOAやアジャイル開発に至っては、先進的であるはずの「コア・基幹」でも1.0(今後検討が平均値)になっている。

 それはさておき、もう1つ、4分類におけるCIOの役職を示しておこう(図5)。「コア・基幹」ではさすがに情報システム担当役員を任命している企業が55.8%と多い(それでも過半数を少し超えたレベルに過ぎないとも言える)。これに対し「非コア・非基幹」ではCIOに相当する人がいない企業が20.0%、つまり5社に1社ある。こちらは「2極化」という言葉がマッチする結果である。

図5:CIOの役職の違い

 

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