2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」を取り上げる本連載。IT戦略における日本と世界の差異を見極めるための観点として、第5回では、IT戦略を打ち立てるなかで、国民性がどう影響するかについて考察した。今回は、クラウドの時代に望まれる組織のあり方について考えてみる。
ITサービス事業者が提供するサービスの中で、国内と海外とで存在感が異なる分野の1つが、「IT Service Management(ITSM:ITサービス管理)」だろう。筆者の勤務先をみても、ITSMに関する案件は、海外のほうが、その動きが目立っている。
海外におけるITSMでは、ITSMコンサルタントが顧客と密接に連携して活動する。そのため、ITSMサービスの価値も顧客に明確に伝わっていく。結果、ITSM自体やITSMコンサルタントの必要性について疑問を持たれることがない。
一方、日本におけるITSMは、SI(System Integration)における1プロセスとして組み込まれている。ITSMコンサルタントも、顧客の前面に出るわけでなく、SIに参画している要員の1人になってしまう。なので、ITSMという案件は海外ほどには目立たない。
ITSMの国内外で差異は結局、4つのP、すなわち「People」「Process」「Product」「Partner」をどう考えるかの違いの表れだ。具体的には、組織における人の役割(People)や、必要なプロセスの定義(Process)、効率性を高めるITツールの活用(Product)、協業先の範囲(Partner)のとらえ方が異なっている。最近はITSMとクラウドを絡める考え方があるが、そこでは、パブリック・クラウドをPartnerに位置付けているのだと考えれば納得しやすいだろう。
会員登録(無料)が必要です
本連載『2020年を見据えたグローバル企業のIT戦略』の第1回〜第12回が「クラウド、GRC編」として、IT Leadersの電子書籍『IT Leaders選書』になりました。お手元でじっくりとお読みいただけます。こちらから、どうぞ、お買い求めください。
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 【第24回】IoT が実現する社会に向けた戦略を確立せよ(2015/10/05)
- 【第23回】IoTで活性化するロボットと人工知能(AI)(2015/09/07)
- 【第22回】IoTでデータを再集中させるセンサーの課題が未解決(2015/08/03)
- 【第21回】IoTが導く第3のドリブンは“エモーション(感情)”(2015/07/06)
- 【第20回】IoT活用で問われているのは発想力、ブレインライティングが有効(2015/06/01)