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データ連携のアプレッソとRIA基盤のオープンストリームが企業モバイルを軸に協業

2014年4月17日(木)IT Leaders編集部

モバイル活用をもう一歩前進させ、業務品質やビジネススピードを高めたい。実効的かつ現実的なアプローチは何か。ここでアプレッソとオープンストリームの国産ベンダー2社が協業を発表した。

 データ連携ツール「DataSpider Servista」を展開するアプレッソと、業務用RIA(Rich Internet Application)プラットフォーム「Biz/Browser」を展開するオープンストリーム。この2社が、ソリューションの連携で協業するとの発表が2014年4月16日にあった。これはユーザーにとって、どんな意味があるのか。特に、企業システムにおけるモバイル活用という視点で考えてみたい。

 メールやグループウェアに社外からもアクセスして使えるようにする─。これをモバイル活用の最初のステップだとしたら、今は多くの企業が“第2幕”に突入しようとしている。

 例えばタブレット端末を使って、担当エリアの売上実績を参照する、受注案件の仕掛かり状況を把握する、顧客ごとの契約内容を確認する…。バックエンドにあるシステムのデータを検索、抽出、(時には)更新するといった使い方だ。1つのシステム(DBと言い換えてもいい)との連携で事足りることもあるが、現場のニーズを満たすには、既存の幾つかのシステムからデータを抜き出してこなければならないというケースも少なくない。

 モバイルならではの機動力に期待は高まっているが、その仕組みを整えるIT部門にとっては、やっかいな問題がいくつもある。1つは、デバイスの多様化だ。タブレットを例にとれば、代表的なところでAndroid機とiOS機があり、いずれも次々と新機種が投入されるし、OSそのもののバージョンアップも頻繁にある。仮にどちらかに決めても、機能や使い勝手の面から他方に切り替えたいといった声も挙がりがち。そんな状況下、ひとたび開発したアプリケーションが、いつまで使い続けられるのかという疑念と常に隣り合わせになる。

 多様化はバックエンドのシステムについても当てはまる。社内を見渡せば、過去からのオンプレミスの資産もあれば、比較的新しい業務システムならプライベート/パブリックのクラウド基盤上で稼働させているものもあるだろう。SaaS(Software as a Service)の利用も増えている。すなわち、モバイルで活用したいデータの所在を見ると、多種多様な環境に分散してしまっているのだ。

 モバイルの業務利用を始めると、新たなニーズが次々と出てくるといった声もよく聞く。「せっかくなら別のデータも組み合わせて見られるようにしたい」といったもので、多くは短期での対応が求められる。

 「マルチデバイス」と「マルチバックエンド」、そして度重なる変更要求。これらにどう現実的に対処していくかを考える時に、先の2社の協業の意図が見えてくる。

図 Biz/BrowserとDataSpiderの連携イメージ(リリースより引用)

 Biz/Browserは、HTTPベースのWeb環境に、直感的で分かりやすい操作画面と業務ロジックを実装するアプリケーション基盤。「Biz/Designer」で定義した画面/ロジックは「CRS」と呼ぶスクリプトとなり、デバイスに導入するランタイムでこれを実行する。ランタイムにはPC/Android/iOS/Windows CE版があり、CRSはどのランタイムでも共通に稼働する。また、常に下位互換性が保たれている。つまり、開発したアプリケーションは、OSや機種の違いを意識せずにクロスプラットフォームで使い続けられる。

 一方のDataSpider Servistaはデータ連携、いわゆるEAI(Enterprise Application Integration)のソリューションだ。各種のDBやアプリケーション、クラウドなどをつなぐアダプタが豊富に用意されており、DataSpiderをハブにした疎結合型のシステム統合を支える。処理フロー(データ取得、変換、加工など)の定義はGUIベースで視覚的にできるのが特徴だ。

 DataSpiderで定義した処理フローは、さまざまなイベントをきっかけに起動させられるようになっているが、今回の発表では「HTTPトリガー」という機能を介して、Biz/Browserと連携を図れることが検証済みとなっている。ちなみにHTTPトリガーは、Webクライアント(この場合はBiz/Browserアプリケーション)からURLを指定することで処理フローを起動するもの。Javaによるプログラム実装(ServletやJSP)は不要だ。

 これらの仕組みによって、異なる複数のシステムから必要なデータを抽出してタブレット画面に表示する(必要に応じて、エンドユーザーが追加・更新することも想定する)といったアプリケーションを、比較的簡単に構築することができる。そのアプリは、デバイスを選ばずに使えるし、アダプタさえあれば(実際にかなりの数がすでにある)多種多様なデータソースと連携することができる。

 もちろん万能ではない。システム間の「緩やかな同期」を前提としているので、例えば複数DBの参照結果を基にした(1個の違いも許されない)在庫引き当てといった業務には向かない面もある。もっとも、データ間の厳密なリアルタイム同期を必要とするケースはそうそうあるものではなく、“第2幕”の一般的な用途の多くをカバーできると言っていいだろう。

 Biz/Browserの導入実績は1300社。DataSpiderのそれは2000社。共に10年以上にわたってニッチな分野で顧客に鍛えられてきた国産ベンダーが、企業モバイルの分野でタッグを組むのは興味深い。2社が想定するユースケースに沿って、どこまでユーザーに食い込めるかが注目される。

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