[IT人材育成[戦略と実践]]

組織がスキル標準を活用する際のポイント―IT人材育成[戦略と実践](8)

2014年4月23日(水)高橋 秀典

今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。

スキル標準は人材個人の視点に基づくもの

 有名なITスキル標準は、提供されているキャリアフレームワークや各種定義体が、IT人材の視点で記述されています。言い換えれば、「技術者個人が、いかに顧客にサービスを提供できるか、そのための技術力を持っているか」の観点からの定義・記述のみで成り立っているのです。そのため、ITスキル標準のみでは自社の戦略について検討することはできません。では、このような個人の人材視点の標準を企業や組織において活用できるようにするためには、どのようなアプローチが必要になるのでしょうか。

 ITスキル標準の導入を推進した担当者が上述の課題解決にあたったものの、結局、多くはうまくいかなかったのです。以下は、そうした担当者の方々の典型的な考え方です。

●標準なのだから変えてはいけないもの。だから、そのままキャリアフレームワークのどの職種のどのレベルに何人いるかを自社で明らかにすればよいのではないか。
●経営者も、わが社はIT業界でどのくらいの位置づけなのかを知りたがっている。
●以上から、情報処理試験のように、「何人が持っているか」を外部にアピールするのに使えそうだ。
●また、評価指標としてそのまま人事等級枠に使えそうだ。

 このような論理でスキル診断という手段を採用し、そのまま毎年も続けているという企業もあります。しかしながら、真剣に人材育成を考えている方々であれば、それはITSSフレームワークの中で現状把握をしているだけであり、自社の意志が入っておらず、To Beが設定されていないので次のステップが存在しないということに気づくのです。スキル診断でも気づきを得ることはできますが、それだけでは導入・活用しているとは言えず、そのまま続けてもあまり意味がないのです。

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