複数のデータセンター全体の仮想化が実現されれば、よりダイナミックにコンピュータ資源を利用できるインフラが整うことになる。その先に待っているのが、前回紹介したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の世界だ。IoTのビジネス成果は、ビッグデータと関係するものが多い。そもそもビッグデータとは何なのか。そのインパクトは新しい社会の創出だけには留まらない。
第4回で紹介したように、ビッグデータの波は、インターネットやクラウドというインフラの進化に支えられている。そして、その波は、Webやソーシャル、モバイルの波に続く大きな変化を引き起こし始めている。すでに米国では、ビッグデータ関連と呼ばれるベンチャー企業が1000社以上誕生し、IPO(株式の初公開)を実現した企業も登場している。
例えば、2014年4月にNASDAQに上場した米Rubicon Projectは、クラウドとビッグデータのテクノロジーを基に、広告の売り手と買い手の間の「交換所」となるビジネスモデルを実現した。上場時の株価時価総額は7億ドル(約700億円)を達成している。
データ収集の分野では、米Splunkが、米調査会社のガートナーによるマジック・クアドラントで、2013年の「リーダー」に選出された。Splunkは、ITシステムおよびインフラで生成された、すべてのデータを収集し、インデックス化することで検索・分析・可視化を可能にするソリューションを提供する。現在は、セキュリティ分野からビジネスを広げている。
センサーからアプリまでイノベーションの範囲が広い
ビッグデータによるイノベーションは、データを中心に幅広い分野が対象になる。解析とその応用だけでなく、センサーを含むデータの収集や、解析のためのプラットフォーム、マーケティング、ITマネジメントやCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)などのアプリケーションや新ビジネスなどだ。
会員登録(無料)が必要です
本連載『CIOのための「IT未来予測」~将来を見据え、目前のITを評価せよ~』が、IT Leadersの電子書籍『IT Leaders選書』になりました。お手元でじっくりとお読みいただけます。こちらから、どうぞ、お買い求めください。
- 1
- 2
- 次へ >
- 広がるAIの応用分野と、それが示す現時点での限界(2017/04/17)
- 米GEのIndustrial Internetの成果と進化(2017/03/20)
- IoTとAIが変えるUI(ユーザーインタフェース)(2017/02/20)
- IoTの実現に向け広がるフォグコンピューティングの価値(2017/01/16)
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要テクノロジーとしてのIoT(2016/12/19)