事業会社のIT部門が、社外に任せず自ら発揮すべき価値を集約すると大きく5つの機能が浮かび上がる。今回は、そのうちの「戦略企画機能」について解説する。
前回は、「ビジネスに恒常的に貢献し、時にはそのビジネスをリードするIT部門」に必要なIT機能とは?というテーマに関連して「知識とスキルの違い」を説明しました。
やや脱線した感もありますが、業務プロセス改善の知識を持っていてもスキルに転換できないIT部門が多く、その結果として「IT部門内の業務を一定の品質・生産性をもって実行する」ことや「そのためのプロセス改善ができない」というケースを多く見受けるため、これは大事だと思い、あえてボリュームを割いた次第です。
しつこいようですが、例を挙げてみます。IT部門のスタッフが、ITサービスマネジメントに関する知見を集積した「ITIL」については知識があり、人によっては“ITIL Certified”の資格も保有しているとしましょう。ここで、ITILフレームワークに則ってデータセンターオペレーションの標準化に向けてプロセス改善に臨む際に、以下のようなことが散見されます。
- 何をどうしたらそのプロセスがITIL標準フレームワークに則って標準化できるのか分からない。
- そこで、アウトソーシング・パートナーにプロセス改善をお願いする。
- オペレーションに関する既存プロセスや課題を反映した改善点がIT部門社員から具体的に提示されず、パートナーはここを曖昧にしたままプロセスを標準化してしまう。
- できあがったプロセスについて、社員はITILフレームワークに則った検証ができない。
- 結果、課題を包含したままの標準プロセスができあがってしまう。
──このような悪循環が、そこかしこに見受けられます。研修への行かせっ放し、資格の取らせっ放しは、年を重ねると共に形骸化。せっかく習得した知識も埃にまみれてしまいます。最後にもう一度申し上げますが、新たに得た知識を実践で駆使し「スキルに変える」努力が欠かせず、それをIT部門の皆さんに啓発できる職場環境を作ることがCIOの責務なのです。
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【次ページ】IT部門が能動的に価値を発揮する「戦略企画機能」
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