中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。
中国のネット監督機関の幹部クラスで「有料削除」が横行
─新京報(2015年1月21日)
現在、中国で社会問題となっている「有料削除」と呼ばれる違法活動について、中国の政府部門などのインターネット監督機関の幹部クラスの一部が手を染めている実態が明らかになった。中国のインターネットに関する政策の制定、管理指導などを行う機関、国家インターネット情報オフィスの副主任、彭波氏が報告している。
有料削除とは、インターネット上に掲載された自身にとって不利益となる情報を、「有料で削除する行為」のことである。多くの従事者はあらかじめ調査会社などを使って対象者の不利益となる情報を収集してネットに掲載したうえで、その対象者に有料での削除を持ちかけるといった、いわば恐喝に相当する行為であるため、その多くが犯罪行為となっている。
彭氏によると、本来、インターネットでの犯罪行為などを取り締まるべき部署に在籍している者が、自身の利益のために内外と結託して有料削除行為を行うケースが相次いでおり、この取り締まりが公務員における反汚職キャンペーンの中でも重点となりつつあるという。
現在、国家インターネット情報オフィスを筆頭に、工業・情報化省、公安省(日本の警察庁に相当)、国家新聞出版広電総局(出版・放送事業の監督機関)の連携による専門チームを編成し、半年間の期間を設けた大規模な取り締まり活動を展開している。また、中国でインターネットの通報機関として機能している中国インターネット違法・不良情報通報センターは、公式Webサイト(http://www.12377.cn)上の通報コーナーに有料削除コーナーを特設し、最高5万元の報奨金を設けてインターネット・メール・電話での通報を大々的に呼びかけている。
P2P金融業者が突然の業務停止、9億3400万元の資金が行方不明?
─一財網(2015年1月23日)
近年、中国で急成長しているP2P金融(ソーシャルレンディング)であるが、ついにP2P金融業者の破綻が目立ち始めてきた。
北京市のP2P金融業者、里外貸は、事前に一切の予告なく2015年1月22日から一切の業務を停止した。同社のオフィスは入口に鍵が掛けられたうえ人影もなく、電話にだれも出ない状態が続いており、経営者の所在も不明という。
P2P金融のポータルサイト「網貸天眼」(http://www.p2peye.com)によると、同フォームは2013年5月に開通し、翌6月3日に最初の貸し付けの斡旋を実施したとされている。開通から2014年10月31日までの取引回数は138156回で、投資家の数は4482名、そのうち投資額が100万元以上の者が349名、1千万元以上の者が30名となっている。1億元を超える大規模投資を行った者は2名で、投資家1名あたりの最高投資額は累計で2億8800万元に上るという。
また、P2P金融のSNSサイト「網貸之家」(http://www.wangdaizhijia.com)の情報では、2015年1月21日までに同フォームで取引が成立した貸付額は22.48億元となり、同日までに同フォーム上で集められた貸付待ちの資金は9億3400万元に上るという。現在、貸付待ち資金9.34億元のすべてが行方不明となっており、早くも業界からは「P2P金融史上最大の債務不履行」との声が聞こえている。
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