ITサービスマネジメントの必要性を早期から訴求すると共に、実践するためのツール「LMIS」を提供してきたベンダーがビーエスピーだ。従来のオンプレミス版に加えてクラウド版もラインナップに加え、問題意識の高いユーザーに導入が進んでいる。プロダクト事業本部でITサービスマネジメント部部長を務める庄司憲氏に、昨今のトピックを中心に話を伺った(聞き手はIT Leaders 編集長、川上潤司)
※編集部注:本文中にビーエスピーとある社名は取材当時のものです。2015年4月1日よりユニリタに変更となっています。
貴社は運用管理の領域に軸足をおいてビジネス展開してきており、今、最も力を入れている1つがITサービスマネジメントの高度化ですね。
庄司:今や、どんな事業を手がけるにせよITは不可欠。ビジネスとITとの距離が、かつてないほど近いもの、あるいは一体化したものとなってきているのです。当然ながら、システムのことはIT部門だけが考えて粛々と動かしていればよいという図式は成り立たなくなっている。ビジネスをいかに支え、合理的に回していくかという視点に立って、事業部門と足並みを揃えて取り組んで行かなければなりません。
そこで大事になってくるのが「ITサービスマネジメント」という考え方です。つまり、当該システムのオーナーである事業部門やエンドユーザーのニーズを汲み取って適切なサービスを提供する、それも、規定の品質を維持するためのプロセス管理や、継続的改善につながるための仕組みを用意して、体系的に取り組むことが求められているのです。
システム運用の現場を見ると、手順に沿った繰り返しの業務、つまりはルーチンワーク的な仕事が占める割合も多く、協力会社に委託しているケースが少なくありません。そこにおいて“丸投げ”を決め込んでしまうと、費用が妥当かどうかの判断がつきにくくなるばかりか、いざ何か起こってしまった時の対処に苦慮してしまうという懸念があります。ITサービスマネジメントは、企業IT全般のガバナンスといった視点でも重要性が高まっているのです。
製品展開においては、具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか。
庄司:まず根本的なコンセプトとして、2007年に「LMIS(エルミス):Lifecycle Management for IT Service」というものを打ち出しました。ITサービスの品質向上や継続的な改善を図っていくには「ライフサイクル」、具体的にはシステム開発、業務テストと本番移行、ユーザーへのサービス提供、サービスレベル評価といった一連の作業における情報を一元管理して、PDCAをきちんと回していく仕組みが欠かせないことを訴求するものです(図参照)。
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そのコンセプトを具現化する製品を、その名も「LMIS」として翌2008年にリリースしました。オンプレミス(自社導入)での利用を前提とするもので、今日までに3回ほどバージョンアップを重ね、機能を強化してきています。また、2011年には、クラウド版として「LMIS on cloud」をラインナップに加えました。