[インタビュー]
「より多くの日本企業にベアメタルIaaSのメリットを届けたい」―IBM SoftLayerエバンジェリスト
2015年3月16日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)
仮想マシンだけでなくベアメタルサーバーもアズ・ア・サービスで使えるのが特徴のSoftLayer。2005年の設立以来、ゲーム/エンタテインメント、HPC業界を中心に認知度を高めてきた同サービスだが、2013年7月にIBMの傘下に入ってからは、製造や金融などのエンタープライズユーザーからも注目を集めるようになった。先ごろ来日した米IBM SoftLayerリード・テクニカル・エバンジェリストのフィル・ジャクソン(Philip Jackson)氏に戦略や課題、新設された東京データセンターの特徴などを尋ねた。
競合IaaSに対するSoftLayerのアドバンテージ
――IBMのSoftLayerエバンジェリストに就くまでの主な経歴を教えてほしい。

インターネットには子供の頃から親しんでいて、特にオンラインゲームに熱中した。社会に出てからはホームセンターチェーンに就職して、フォークリフトのオペレーターをやっていた(笑)。10年ほど前に、EV1 Serversブランドで知られるプラネット(The Planet Internet Services)に入社し、2010年にソフトレイヤー(SoftLayer Technology)がプラネットを買収。そして2013年にはIBMがソフトレイヤーを傘下に収めて、今ここにいる。
――SoftLayerは現在、グローバルでどのぐらいのユーザー規模なのか。
約2万3000から2万4000社の顧客企業にSoftLayerを使ってもらっている。ユーザーの数となるともっと多いだろう。
――そうした多数のユーザーから、数あるIaaSの中でSoftLayerのどのような特徴が支持されているのか。
我々はIaaS事業者の中では最も古い歴史を持っている。SoftLayer自体は2005年からだが、創業者のランス・クロスビー(Lance Crosby、現IBM SoftLayer CEO)は、その前からIaaSに取り組み、顧客にサービスを提供していた。つまり、競合他社と比較して経験値がまるで違うということがまず挙げられる。
技術的にはやはり、ベアメタルサーバーと仮想サーバーを同一のレイヤ2ネットワーク環境で提供できることで、真のハイブリッドソリューションを確立していることがある。そして、APIも豊富に用意している。SoftLayerのコアと呼べるAPIを介して、顧客はさまざまなソフトウェアの機能を透過的に活用できるようになる。

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「顧客がクラウドでやりたいのにできないこと」を解決する
――APIをどのような方針・戦略を持って開発し、拡張しているのか。また、例えば、ユーザーからのフィードバックで開発されたAPIもあるのか。
しっかり品質保証することを最重視している。顧客の実際の環境で機能がきちんと動作するのを大前提にしている。我々はIaaSをめぐる技術領域のリーダーという自負があり、常に先を考えてテクノロジーを開発している。特に、顧客がクラウド環境でやりたいことがあるが、技術的にできないといった状況を把握したうえで、確かな解決策を提供していく姿勢を取っている。
一例として、SoftLayerの今後の新機能の1つである「Audit Log」(監査ログ)がある。この機能へのインタフェースとなるAPIを提供することで、ログ取得の自動化を促進して、顧客にとっての利便性を高めていきたい。

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――ベアメタルサーバーのアイデアは創業当初からあったのか。
そう。IaaSとしてベアメタルのリソースを利用できるようにすること、仮想マシン(VM)と上手く組み合わせることに長年取り組んできた。10年前だと、すでにVMが企業で利用されていたが、あまりパフォーマンスがよくなかった。その後、クラウドが普及し始めてVMのパフォーマンスもかなり向上し、今の我々のように、物理/仮想の両方の組み合わせで性能の高いIaaSが提供できるようになった。
――ベアメタルのIaaSに最初に飛びついた業種を教えてほしい。
ある特定の業種だけ強く興味を持ったというわけではないが、ゲームをはじめとしたエンターテインメント業界やヘルスケア業界、それとストリーミングサービス事業者が強い興味を示してくれた。今ではさまざまな業種で広く受け入れられている。
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