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[ERP導入に失敗しない3つの条件、ベンダーの言いなりにならない真の活用に向けて]

【条件3】ERPプロジェクトの“本来の目的”を見失わない

なぜ個別最適にとどまってしまうのか

2015年3月19日(木)京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ERP導入支援チーム

ERP(Enterprise Resource Planning)導入で失敗しないための条件として、導入企業のプロジェクト体制と、バージョンアップやパッチ適用を前提にしたアドオン開発の方法の2つを挙げた。条件3は、ユーザー/ベンダーの垣根を越え、プロジェクト推進中の重要なイベントと分岐点を考えてみたい。

 ERP(Enterprise Resource Planning)の導入プロジェクトは、1年から数年を要するビックイベントだ。その過程では、“全体最適”を重点目標に掲げスタートしたものの、気が付けば“現場が要望する個別最適”な作業に追われていた、というケースが少なくない。

キックオフミーティングと重点目標定義の重要性

図1:プロジェクト目標の周知徹底にはオーナーの参画が不可欠図1:プロジェクト目標の周知徹底にはオーナーの参画が不可欠
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 こうした事態を避けるためには、プロジェクト目標の周知徹底を全社に図らなければならない。その最大の機会がキックオフミーティングであり、そこでプロジェクトオーナー自らが目標/計画を伝えることが大きな意味を持ってくる(図1)。

 詳細はプロジェクトマネジャーが説明しても構わない。だが、ベンダーやITサービス会社がプロジェクトの計画を説明しているようでは、その段階で“黄色い信号”が点っているといっても過言ではないだろう。

 プロジェクトオーナーが自身の言葉で、自社が抱える経営課題やプロジェクトの目的、取り組み方針など説明することで、真の目的を共有するとともに、立ち戻るべき“原点”がプロジェクトメンバーに焼き付けられる。

 加えて、プロジェクトオーナーは月次の定例会議に参加し、プロジェクト状況を把握するだけでなく、全体的な課題や部門横断の課題について都度、判断を下すことが有効だ。プロジェクトマネジャー以下の関係者だけで、対処方法を議論すると、「どうすれば実現できるか?」という議論に終始してしまうためである。

 常に“経営者の判断”を加えることで、物事は恐ろしくシンプルに解決されることが多い。プロジェクトの規模や体制などにもよるものの、プロジェクトオーナーが、プロジェクト計画を遂行するための舵取りに積極的に関わるかどうかは、言葉以上に大きな意味を持っている。

ユーザーの利便性は思い切って次期ステップと考える

 プロジェクト遂行を妨げる課題の1つがコストである。「Fit & Gapを実施した結果、費用が当初計画の何倍にも膨らんだ!」−−という声は止まない。その背景には、利用部門からの要求を十分にコントロールできていないことがある。

 要求のコントロール策としては、利用部門の利便性は思い切って次期ステップに位置付け、とにかく早期にシステムを稼働させるという方法がある。まずは、業務プロセスやデータ項目に注力し、アドオン開発を抑える。条件1で触れた「Time & Material」による導入支援費用の抑制に加え、システム投資の早期回収にもつながる。

 利便性への対応を次期ステップにすることは、決して利用部門に使い勝手が悪いシステムを押し付けるという意味ではない。アジャイル開発の考え方を採り入れ、計画当初からすべての要望を盛り込まず、最低限の仕様から少しずつ必要な機能を盛り込んでいく(図2)。

図2:利用部門の利便性対応を次期ステップに位置付けるメリット図2:利用部門の利便性対応を次期ステップに位置付けるメリット
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 アジャイル開発の考え方で利便性に対応することは、全体のアドオン工数を抑制する効果も見込める。この実現には、条件2で紹介したWeb-APIを活用した開発アプローチが重要になってくる。

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