日本の流通業、接客業では“金科玉条”とされてきた「お客様は神様」という言葉。昨今は、こうした考え方を否定する見方もあるようだ。だが海外の小売業界においては、この考え方が「ビッグデータ」や「オムニチャネル」というITキーワードと共に語られているという。それぞれが、どう関連しているというのだろうか。
「お客様は神様」。この言葉を生み出したとされる歌手の故三波春夫氏自身は生前、ここでいう「お客様」は、商店や飲食店のお客のことではないと否定していたそうだが、日本の接客業においては、顧客を最上級にもてなすための絶対的な指針として扱われてきた。結果、世界的にも評判が高い“おもてなし”文化を生み出したといえるかもしれない。
こうした考え方は、海外の高級ブランド店や高級レストランは別として、欧米の小売り現場にフィットするようには思えない。ところが欧米を含む世界的な傾向として、小売りビジネスを成功させるためには、「お客様は神様」という考え方が必要不可欠になっているという。
海外の現状をそう話すのは、DWH(Data Warehouse)関連ツールベンダー大手の米テラデータでインターナショナル リテール・インダストリー・ディレクターを務めるカタリーナ・ハンソン氏。スウェーデンのアパレルメーカーH&Mや家具販売店のIKEAなどで、営業やマーケティングのマネジャーを務めたという経歴の持ち主だ。これまでの経験からも同氏は、「小売業における業務改善や売上拡大に向けたデータ活用においては、何よりも『お客様は王様/神様だ』という顧客中心の考え方が必要になる」と指摘する。
顧客が望むのはパーソナライズとシームレス
ハンソン氏によれば、小売業が抱える世界的な課題は、(1)オンラインやオフライン、モバイル、リアル店舗など様々なチャネルを通じてシームレスな顧客体験を提供できるか、(2)eコマースが拡大するなか実店舗の立ち位置をどのように決めるか、そもそも実店舗が必要なのか、(3)eコマースのリアルタイム性に対応して柔軟な価格設定ができるか、(4)代替的な支払方法を用意できるか、など。すなわち、(1)に集約されるようなオムにチャネル対応が喫緊の課題だというわけだ。
eコマースやモバイル端末が普及した今、「顧客の多くが望むのはパーソナライズ化とシームレス化」(ハンソン氏)。自身にだけ向けた商品の提案や価格、情報提供、サービスを望み(パーソナライズ)、同時に自身に最適な場所と時間、方法で購入したい(シームレス)と思っている。さらには、小売業者のブランドアイデンティティによって他社とは異なるユニークな体験の提供(差異化)を期待しているという。
これらの新しい顧客ニーズに応えるために、欧米の小売業ではeコマースやモバイルアプリケーションの強化といったオムニチャネル対応を進めている。そのうえで、成長が著しいGMS(総合スーパー)やSM(スーパーマーケット)ほど、「店舗ごとに最適な改善方法を求め、そのためにデータを駆使して顧客の行動を徹底的に分析している」とハンソン氏は分析する。
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