「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、IT Leadersの編集主幹である田口 潤のオピニオンです。
1980年代までのメインフレームの時代、90年代のオープンシステムとPCの時代、90年代後半から2000年代のWeb(インターネット)の時代を経て、今、ユーティリティコンピューティング、そしてユビキタスコンピューティングの時代に入りました。企業は、それぞれの時代に新たなITを必要に応じて活用し、業務のあり方や提供するサービスを進化させてきました。
例を挙げると、事業を支える情報システムを確実に構築・運用する、モバイルなどを生かして働き方を変革する、Webで顧客との関係を強化する、といったことです。新たに出現したITを取り込み、ビジネスのあり方や事業を進化させることはそれ自体困難であり、高い専門性も要求されます。それらをしっかりこなすことができるCIOおよび情報システム部門は、十分な役割を果たしていると言えたでしょう。
しかし、それで良かった時代は過ぎ去りつつあるように感じます。我々が普段見ているITの進化は「1次的な変化」であり、それが引き起こす「2次的、3次的な変化」にも目を向ける必要がある時代になったと思えるからです。「にも」と書きましたが、今後はそちらの方が重要かも知れません。
1次的変化や2次的変化とは、どんなことでしょう?Wikipediaの創設者の一人であるJimmy Wales氏は、5月に開かれたあるITカンファレンスで次のように説明しました。「米国では1956年から91年にかけて州間高速道路が整備され、人や物の流れを変えた。これが1次変化である」。高速道路網によって鉄道や宿泊業などが大打撃を受け、何らかの変革を余儀なくされたわけです(関連記事)。
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