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洪水防止の緊急作業の高度化にウェアラブル機器を活用、琵琶湖開発総合管理所が新システム

2015年10月2日(金)川上 潤司(IT Leaders編集部)

琵琶湖周辺の水資源の開発・管理などを担う琵琶湖開発総合管理所は、豪雨時の河川氾濫を防止する業務の確実性や迅速性を高める手立てとして、ウェアラブルデバイスを活用した新システムの導入を決めた。関連サービスを提供する日立製作所が2015年10月2日に発表した。

 “ウェアラブル”の中でも、いち早く業務活用が進むと目されているのが、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイなど、顔/頭に装着するタイプのデバイス。何らかの作業にあたっている視野内に違和感なく情報を表示でき、両手が自由に使えるという利点を備えることが理由に挙がる。例えば設備点検などにおいて、ディスプレイに作業手順を表示することでミスを抑制できるといった効果が見込める。

 最近ではデバイス側にカメラを内蔵するものも増えている。この場合、遠隔にいる第三者が、作業者が目にしている状況を確認しながら、適正なアドバイスを加えるといった使い方も可能だ。慣れない人でもベテランの指示を仰ぎながら間違いなく作業を進められる点を評価し、本格導入を検討する動きが徐々に広がっている。

 琵琶湖開発総合管理所もその1つ。治水事業を含め琵琶湖周辺の水資源の有効利用を推進する同管理所にとって、大雨の際の排水機場の運転操作や不具合対応は大きなミッション。適切な措置を速やかに進めるために、カメラ付きヘッドマウントディスプレイとAR(拡張現実)技術を用いたクラウド型機器保守サービスの導入を決めた。

 台風などの影響で河川氾濫の危険性がある際には、琵琶湖の水門を閉めると共に、排水機場のポンプで河川の水を強制的に琵琶湖に送る措置を採る。同管理所が管轄する排水機場は琵琶湖一円に14カ所と多い。緊急時には、経験の浅い職員なども含めて短期集中で対応にあたる必要があり、作業の確実性・安全性・迅速性をいかに高めるかを検討していた。

 新体制においては、排水機場のポンプ起動における操作手順をAR 技術を用いてデバイス上に表示しナビゲーションする。加えて、機器に不具合が見つかった際には、目線カメラの映像情報などを観ながら、専門の職員が遠隔から的確な指示を出す。こうした策を講じることによって、河川氾濫を未然に防ぐことに役立てる。

 採用するサービスは、日立製作所と日立産業制御ソリューションズが開発・提供する「Doctor Cloud/巡回・点検支援システム」。まずは大同川排水機場(滋賀県東近江市)と米原排水機場(滋賀県米原市)に導入し、2016年3月をメドに本格運用を目指す。

目線カメラ付きヘッドマウントディスプレイ外観(出典:日立製作所のWebサイトより)
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 琵琶湖開発総合管理所は、水の安定的な供給確保を図る独立行政法人 水資源機構の中で、関西支社に属する事業所の1つに位置付けられる。

【プロジェクトの概要】
ユーザー名 琵琶湖開発総合管理所
事業内容 琵琶湖周辺の水資源の開発や管理、治水事業など
導入システム ウェアラブル機器を使った設備点検支援サービス
導入目的 河川氾濫防止に関わる緊急作業の確実性や迅速性の向上
主な利用製品 「Doctor Cloud/巡回・点検支援システム」(日立製作所)
関連キーワード

行政 / 災害対策 / ウェアラブル / 日立製作所 / 日立産業制御ソリューションズ

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