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日本屈指のHPCシステムを稼働するOISTの先進データセンター

2015年10月28日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

沖縄本島を代表するリゾート地、恩納村(おんなそん)で2011年11月に開学した沖縄科学技術大学院大学(OIST)。以下、同学が強みとする神経科学、分子科学や数学・計算科学などの最先端研究に不可欠な学内データセンター施設と、その安定運用を支えるさまざまなテクノロジーを紹介する。

HPCシステムを活用した最先端の科学技術研究

 沖縄本島のほぼ中央部、北西に東シナ海を望む国頭郡恩納村は、2000年の九州・沖縄サミットで各国の首脳も宿泊した有名リゾート地だ。この恩納村の丘陵にある広大なキャンパスで最先端の科学技術研究・教育を行うのが、2011年11月に5年一貫制の大学院大学として開学した沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Instituteof Science and Technology GraduateUniversity、写真1)である。

写真1:沖縄科学技術大学院大学(OIST)の施設。明るくモダンな印象だ

 OISTは「世界最高水準・柔軟性・国際性・世界的連携・産学連携」を基本理念に掲げ、国際的に卓越した科学技術に関する教育・研究を実施し、沖縄の自立的発展と日本および世界の科学技術向上に寄与することをミッションとしている。単一の研究科・専攻のみを設け、分野の壁がなく、世界各国から教員・研究員、学生が集まる国際色の高さが特徴だ。

 神経科学、分子科学、数学・計算科学、環境科学などの分野においては世界最高水準の研究活動を標榜。沖縄海洋環境観測システム、ゲノム解析HPC(High-Performance Computing)システム、高性能3次元イメージング装置といった最先端の研究設備・機器を、国内外の大学・研究機関などと知見を共有しながら、学術研究開発のグローバル連携体制を構築している。

写真2:Sangoクラスターシステムが「Top500」で281位にランキングされたことを示す認定書

 OISTが誇る大規模HPCシステムとして、学内では、384ノードの「Tombo(蜻蛉)」と、438ノードの「Sango(珊瑚)」の両クラスターシステムが稼働中だ。両システムの高いコンピューティング性能は遺伝子配列解読・解析、逐次計算神経科学(ニューロサイエンスシーケンシャルコンピューティング)、海流シミュレーションなどといったハイエンド領域の研究で活用されている。

 なお、400ノードを超えるSangoクラスターについては、2015年7月時点のスーパーコンピュータ性能世界ランキング「Top500」において281位にランクインしている(写真2)。

全3期計画で構築・拡張が進むOISTデータセンター

 そんな同学において日々の研究開発を文字どおり支えているのが、HPCシステムの稼働基盤たるOISTデータセンターだ。OISTのメインキャンパス内で開学当初から構築を開始し、高度な研究開発ニーズにこたえるべく今もなお拡張を続けている。構築・拡張は全3期のフェーズで計画されており、2011年の第1期(Day1)を終え、現在は2014年からの第2期(Day2)にある。

 OISTによると、当初は台風や地震などの自然災害リスクの高い沖縄だからこそクラウドを活用すべきだという意見も出たという。しかしながら最終的には、HPCシステムを自前で構築・運用し、バックアップを奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)や理化学研究所などと協力することでデータ/システムの確実な保全を図るというアプローチがとられた。また、56~59ページの本編で紹介した、情報通信センターを中核とする沖縄県のクラウドネットワークのアクセスポイントともなっている。

●Next:沖縄の猛暑に耐えるべく、工夫を凝らしたスパコン冷却

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