これからの基幹業務システムには業務革新をリードする役割が求められる−−。独SAPの「SAP S/4HANA」や、ワークスアプリケーションズの「HUE」といった最新ERPソリューションの仕組みを知るにつけ、そういう思いを強くする。採用・導入するか否かを問わず、これらの製品には基幹業務システムの未来像を考える上でのヒントが詰まっている。
「賞味期限切れだが、食中毒の心配はないし、まだまだ使える」──。こんな理由から、会計や人事、販売といった基幹業務システムの中には、構築から10年以上を経たものが少なくない。中には20年、30年前のシステムに改修を継ぎ重ねているものもあるだろう。
だが、ウェアラブルを含めたモバイル端末、ビッグデータやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、それにAI(Artificial Intelligence:人工知能)などの技術が当たり前になる中で、業務システムだけが進化しないで済むはずはない。安定稼働して既存業務を支えるだけでは不十分だ。大げさに言えばビジネスや事業を高度化したり変革したりするドライバー(駆動装置)としての役割が求められる。
ではどう進化させれば良いのか? その問いの解、もしくはヒントになると考えられるのがERP(Enterprise Resource Planning)ベンダーの新世代ソリューションである。好例が、最大手の独SAPの「デジタル変革を推進するSAPのデジタルフレームワーク」と題する構想だ。SAPジャパンが2016年2月3日に開いた戦略説明会で提示した。同社の製品やサービス(SaaS:Software as a Service)を単に1枚の図で示しただけに思えるが、実のところ、これからの情報システムの姿の1つを端的に示している。どういうことか、見ていこう。
SAPが提唱する「デジタルフレームワーク」の意味
図1が、SAPのデジタルフレームワークである。中央に位置するのはSAP S/4 HANA、つまり主力製品であるERPシステムだ。
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