顧客接点がオムニチャネル化し、様々なチャネルから膨大な顧客情報が得られるようになった現在、マーケティングの活躍の場は広がっている。一方で、マーケティング活動に対する評価の仕組みが確立されておらず、成長サイクルに乗せることができずに苦労している企業が多いという。BIツールとの連携という形で、その課題解決に応えようとしているのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールを提供するシャノンだ。
Tableauとの連携でセルフ分析が可能に
そこで目を付けたのが、近年注目を集めている「セルフBI」といわれるツールだ。従来のデータウェアハウスとの連携で使用するエンタープライズ型のBIツールと異なり、ユーザー部門でも容易に使いこなせるのがセルフBIの特徴といわれている。中でも、Magic Quadrantで4年連続リーダーの評価を得ているTableauは、国内で導入する企業も急増しており、勢いが違った。
その秘密は、圧倒的な使いやすさにあるという。Tableau Japanの浜田俊社長によると、「最低限のITリテラシーさえあれば、だれでも容易に高度な分析や可視化が行える」と操作性の高さをアピールしている。グラフなどの描画もリアルタイム性が高く、新しいデータを即グラフに反映させるなどのテクニックを容易な操作で実現できる。
というのも、ご存知の方も多いかと思うが、Tableau Softwareの共同創業者であるPat Hanrahan氏はもともと、ディズニー映画で有名なピクサーでCGを手掛け、アカデミー賞も受賞したことのある人物。そのグラフィックス技術をエンタープライズソフトに反映させたユニークな製品ゆえ、突出したビジュアライゼーション、操作性を可能にできたといえる。
また、連携のしやすさもポイントとなってる。そもそも、なぜ今まで、BIツールとの連携を行ってこなかったのか。シャノンによると、例えばSMPをエンタープライズBIとデータ連携するとなるとAPI接続が考えられるが、実際には、かなり内部に踏み込んだ開発が必要となり、「実現はかなり難しい」という。1回のログインで両方のサービスが利用できるシングルサインオンを実現するのも容易ではなく、ユーザビリティにも問題があった。
これが、Tableauとの間では可能になった。今回シャノンはTableau用に、データベースに直接接続して使用するシステムを開発している。SMPはデータのレンダリングが可能で、Tableauでの処理に事前にレンダリングした結果を使用している。データをプールしておき、差分のみを処理することで、大量データの高速処理を可能にしたという。「SMPのアーキテクチャーだからこそ実現できた面も大きかった」としている。
今回のSMPとTableauの連携では、2つのサービスが提供される。1つ目がでSMPで管理されているデータを可視化するダッシュボード。初期リリースでは、「リード数実績」や「来場実績」「キャンペーン別申込実績」など、マーケティング活動のレポーティングに必要なダッシュボードを無料で9つ用意した。ダッシュボードは、今後も定期的に追加していく予定だ。
2つ目はデータ分析/共有環境。tableau Desktopを使ってユーザーが作成した分析ファイルをアップロードし、関係者が共有できる環境を提供する。有料で分析ファイル作成、分析コンサルティングも提供する。
Tableauが、国内のSaaSベンダーと正式に提携したのは、シャノンが初となる。浜田社長は、「今後も有望なSaaSベンダーとの提携を積極的に行っていきたい」としている。一方、シャノンの中村社長は引き続き「マーケティングのサイエンス化」を進化させて「企業マーケティングの成果向上を支援していきたい」としている。