2015年、シリコンバレーおよびサンフランシスコ地区のスタートアップへのベンチャーキャピタル(VC:Venture Capital)投資は、前年比7.5%増の273億4800万ドル(約3兆円)だった。シリコンバレーでは、1990年代末に暴走的なインターネットバブルを経験している。この辺でブレーキがかかり少し慎重になったことがうかがえる。だが、イノベーションの発信源であることには変わりがない。
シリコンバレーにおけるベンチャーキャピタル(VC:Venture Capital)投資は、2008年から2009年にはリーマンショックのあおりを受けたものの、2010年から順調に回復してきた(図1、PricewaterCoopersおよび米国ベンチャーキャピタル協会調べ)。2015年は前年比7.5%増の273億4800万ドル(約3兆円)で、全米におけるVC投資額588億1118万ドルの43.2%に当たる。しかし、2014年は前年比99%増だったことに比べると増分は少ないことになる。
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投資先の内訳は、ソフトウェア分野が全体の52%を占める。以下、バイオ・医療が17.6%、ITサービスが5.8%、ソーシャルメディアが3.5%で続く。ITサービスもソーシャルメディアもソフトウェアで作り込むのだから、これらも含めれば、ソフトウェア関連分野への投資が合計16億7644万ドルになり、全体の60%を占める。バイオ・医療への投資が急増しているのも、近年のITの進化、特にビッグデータアナリティクスなどによって、遺伝子解析といった技術が飛躍的に進歩しているためである。
VC投資の伸びは慎重な姿勢が見え始めたものの、住宅価格は高騰が続いている(図2)。リーマンショックによって全米で景気が低迷し、VCの投資動向も低迷、住宅価格も値下がりした。だが2011年8月に底をついてからは次第に回復が進み、ここ数年の人口増もあって住宅価格は高騰に転じている。216年4月時点の土地付き住宅の平均価格は97万5000ドルであり、前年同期比で12%も値上りした。米国全土の平均価格が22万ドルだから、シリコンバレーの住宅がいかに高価であるかが分かる。
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シリコンバレーは、サンフランシスコ湾の南側にある周辺地区の総称だ(図3の白線で囲った地域)。かつては果樹園が散在する田園地帯だったが、近年はオフィスビルが増えつつある。その面積は4750平方キロメートルであり、東京都(多摩地区を含む)の約2倍である。
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