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[シリコンバレー最前線]

2017年のITトレンドを占う5つのキーワード

2017年1月13日(金)山谷 正己(米Just Skill 社長)

2016年は政治・経済面はもとよりIT業界においても激動の年だった。あらゆる分野で、これまでの“常識”が覆されるかの勢いだ。2017年、IT業界はどこに向かっていくのか。要注目分野の2016年の動きをおさらいしながら2017年を展望してみたい。

 2016年夏、人々はブラジル・リオデジャネイロのオリンピック/パラリンピック大会に燃えた。政治面では、英国のEU離脱や欧州への難民流入、自爆テロ、そして米国の次期大統領になるトランプ氏の「America First」といった発言など、対立と孤立化が進んでいる。2017年、欧州諸国では議会選挙などを控え政権交代が相次ぐ気配だ。世界の勢力地図が今後、どのように変わるかは余談を許さない。

 IT業界においても2016年は、大企業の統合・分割のほか、ITの適用範囲が企業から社会へと加速度的に広がっていった。IT業界とITを駆使したビジネスにおいては、さらなるグローバル化の進展が避けられない。以下では2017年の動向を占うキーワードごとに、2016年の動きから2017年の動向を探ってみよう。

Cloud First(クラウド・ファースト)

 ビジネス競争は、ますますグローバル化し激化している。ビッグデータやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)といった新しいツールをビジネスに活用し対抗しなければならない。一方で、企業はIT投資を抑えたい。米調査会社のComputer Economicsによる予測では2017年、米国企業のIT予算の伸びは前年比2%増に留まる(図1)。

図1:米国一般企業のIT投資の増加率の推移図1:米国一般企業のIT投資の増加率の推移
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 競争に勝つためには最新ITをビジネスに迅速に導入しなければならない一方で、IT予算が限られるとなれば、クラウドへの移行は必然だ。ハンバーガーチェーン最大手のMcDonald’sは、オンプレミスで運用してきた情報システムを 「AWS(Amazon Web Services)」に移行しつつあり、2017年中には全システムをAWSへ移行するプロジェクトを進めている。ITベンダーであるHPも、オンプレミスにあったERP(統合基幹業務)システムなどのレガシーアプリケーションを「NetSuite OneWorld」のSaaS(Software as a Service)に、わずか6カ月で移行した。こうした動きを受けて、世界のパブリッククラウド市場は図2に示すように伸びている。

図2:パブリッククラウドの世界の市場規模の推移図2:パブリッククラウドの世界の市場規模の推移
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図3:IaaS市場における2016年第2四半期のシェア図3:IaaS市場における2016年第2四半期のシェア
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 半面、クラウドサービス業界では熾烈な競争が繰り広げられている。HPE(HP Enterprise)がパブリッククラウド市場から撤退したほか、Cisco Systemsも同社のパブリッククラウド「InterCloud」のサービスを2017年3月をもって打ち切ると発表した。それほど、パブリッククラウドのサービスビジネスは難しいものなのだ。これで、パブリックなIaaS(Infrastructure as a Service)市場は、AWSと「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」「IBM BlueMix(元のSoftlayerを含む)」「Oracle Cloud」の5強で市場の過半数を占めることになる。うち31%をAWSが占め首位を堅持している(図3)。

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