2016年5月の3本:AIが政府の新成長戦略に/独SAPと米Microsoftが協業拡大/三井住友銀行がパブリッククラウド導入
2016年6月8日(水)松岡 功(ジャーナリスト)
2016年5月のニュースから松岡功が選んだのは、「政府の新成長戦略でAI・ロボットが重点分野に」「SAPとマイクロソフトがクラウド分野で協業拡大」「三井住友銀行がパブリッククラウドサービスを採用」の3本である。
政府の新成長戦略でAI・ロボットが重点分野に
政府は「国内総生産(GDP)600兆円」の実現に向け、先端技術や省エネルギーなどの分野別に目標値を定めた。中でも人工知能(AI:Artificial Intelligence)やロボットといった成長分野は、2020年に30兆円規模の市場に育て上げることを打ち出した。AIやロボットを生かした生産性向上を経済成長の新たな牽引力にしたい考えだ。
新たな成長戦略は、2016年5月19日に政府の産業競争力会議で素案がまとまり、経済財政運営の基本方針、いわゆる“骨太の方針”などとともに6月2日に閣議決定された。安倍晋三首相は閣議決定後、AIやロボットについて言及し、「世界に先駆けた技術革新を日本から興す」と強い意欲を示している。
[選択理由]
新たな成長戦略は、安倍政権にとって肝いりの取り組みである。30兆円規模の市場を生み出すためには相当の投資が行われるのは必至だ。これにより、AIやロボットの技術革新が加速されることは間違いない。企業もこの動きを“追い風”と捉え、AIやロボットを生かした生産性向上に積極的に取り組みたいところだろう。
とりわけAIは、インターネットの検索技術や自動運転など様々な技術に組み込まれ、これからの社会の姿を変える原動力になる可能性が高い。企業の競争力もAIが大きく左右するようになるのではないか。一方で、AIを活用したビッグデータ分析によるプライバシー侵害や、人間が仕事を奪われる可能性も指摘されている。これら正負の両面について深く議論し、実践を重ねていくことが非常に重要だ。
AIもロボットも昨今の動きを決して“ブーム”に終わらせることなく“人間をサポートするIT”として熟成させられるよう利用者も含めて取り組みたいものである。
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