第一生命保険は、契約条件の査定などを最適化する目的で、より高度なデータ活用に取り組み始める。日立製作所が開発した、生活習慣病の発症率と医療費総額を予測する技術などを応用し、両社で共同研究を進めるのが骨子。日立製作所が、2016年9月6日に発表した。
「生命保険に加入しようとしたら、持病や病歴があることを理由に断られてしまった」──。ある程度の年齢に達した場合をはじめ、人によってこうしたことが度々起こる。顧客の生涯に寄り添って保険ビジネスを展開していくには、これまでのように一律な条件判定にとどまることなく、1人ひとりの健康状態や予後までを的確に予測することでリスクをより詳細に把握し、引き受け範囲の拡大などに取り組む必要がある。そこで、日立製作所と共に、両社が持つ保険・医療などの分野における技術やノウハウ・知見を持ち寄って共同研究を開始することにした。
プロジェクトの中核となるシステムは、日立製作所が2014年に開発したもの。健康保険組合が保有する健診結果のデータと、医療機関受診時の医療報酬明細(レセプト)のデータを分析し、生活習慣病の発症率や医療費総額を予測するといったことで既に一定の成果を上げている。大量のデータを解析するにあたっては、ベイジアンネットワークや一般化線形モデル、ディープラーニングなどの手法を活用しているのが特徴だ。
第一生命保険では、このシステムを活用して、保険加入希望者が重篤な疾病に罹患する可能性や、その重症度と予後を高い精度で予測し、保険加入の基準を見直すことを検討している。これにより、持病があることを理由に生命保険加入を断られていた人でも、保険に加入できるようになる可能性が広がる。
また、膨大なデータを活用して、高額な医療費が必要になる疾病につながる要因を解析する。その結果を見て、保険加入者がそのような疾病に罹患しないように情報を提供するなどのサービスの開発も予定している。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | 第一生命保険 |
事業内容 | 生命保険 |
導入システム | 医療データを分析するシステム |
導入目的 | 新しい保険商品の開発 |
主な利用製品 | 検診データや医療機関受診データから生活習慣病発症率や医療費総額を予測する技術 |