前編では、『「働き方」の教科書』の著者でライフネット生命保険・代表取締役会長の出口治明氏に、個人の働き方、組織の働き方についてとくと語ってもらった。後編となる今回は、システム戦略本部 システム運用部長 名代敏之氏にも登場を願い、ライフネット生命が推し進める「ITを活用したワークスタイル変革」の進捗を尋ねた。(聞き手・構成:河原 潤 写真:池辺紗也子)

ワークライフバランスのカギを握るリモートアクセス環境

名代氏:もう1つ、会社のメールに、外出先などから安全にリモートアクセスできるスマホアプリの導入も、社員のフレキシブルなワークスタイルやワークライフバランスの実現に貢献しています。

 例えば、お子さんのいる社員などで、この日は絶対に17時までに帰宅しないといけないが、17時過ぎに1つ重要な連絡を入れないといけないといった場合でも、このツールがあれば自宅からできます。

 また、万が一社員が社外でスマホをなくしてしまったときにも、リモートで外から重要な情報を消すことができる機能が備わっているのも安心です。現在、緊急対応を行う可能性があるシステム部門や、出張することが多い社員、それと役員にこのツールを渡しています。

出口氏:これは使ってみたらとても便利でした。僕が地方での出張から戻ってきたとき、しばらくはメールチェックの嵐でしたが、この仕組みが入ってからは、帰りの新幹線の中で全部済ませられる。

――大きな時間短縮効果ですね。多様な人材とそれぞれのライフスタイル、多様な働く場所をサポートするツールになっていると。

名代氏:はい。リモートワークについては、最近、その勤務体系自体を整備しようという取り組みに発展させるようとして、トライアルが始まりました。

 2人の社員に試験導入ユーザーになってもらい、自宅のPCから、会社のPCにリモート接続できるツールを試用してもらっています。このトライアルでよいところ、改善が必要なところを見極めて、正式導入に持っていくという計画です。

 例えば、Webサイトのクリエイティブ制作担当者など、必ずしもオフィスに常駐しなくても業務が進められるような職種で、フェイスツーフェイスの会議はSkypeなどを活用するといったワークスタイルを想定しています。小さな会社なので、リアルコミュニケーションも大事にしながら、効率よく働けるようにしたいです。