[市場動向]

エクスポネンシャル(指数関数)エコノミーを理論的に分析、ナカシマプロペラの久保氏が企業の生き残り策を提唱

2016年11月21日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

クラウド活用ですら十分にできないのにビッグデータやIoT、AIなんてとんでもない。何よりも時期尚早であり、今取り組んでも苦労するだけ−−。こう考えるITリーダーは少なからずいるのではないだろうか?それに対し「今すぐに取り組むべき」という主張がある。2000年以前の考え方やアプローチでは、2000年以降の指数社会を生き残れないというものだ。

「2000年までのITは潜伏期に過ぎない」

 ここからが、もう1つの本題。久保氏は、2000年を境にモノやエネルギー消費に飽和傾向が見えると言い、そこにITが大きく関わっていると指摘する(図6)。

図6:2000年を境にモノやエネルギー消費は飽和傾向。ITが背景にある図6:2000年を境にモノやエネルギー消費は飽和傾向。ITが背景にある
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 「2000年までのITは、言わば潜伏期間だった。2000年以降、ITは本領を発揮し始め、社会を合理化し始めた。生産性を向上させ、流通を合理化し、モノを減少させる。仕事を減少させてもいる。結果、企業の利益と賃金の関係も2000年から乖離が激しくなっている(図7)。テクノロジーの進化は際限がないので、この動きは加速するだろう」。

図7:2000年以降、企業の利益と賃金の乖離傾向が鮮明になった図7:2000年以降、企業の利益と賃金の乖離傾向が鮮明になった
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 2000年以前のIT化とそれ以降のIT化は、本質的に異なるというのである。読者は、この話をどう捉えるだろうか。筆者自身は全面的に賛成である。2000年かどうかまでは考えが至らなかったが、20世紀と21世紀では経営環境や情報システムのあり方に顕著な違いがあると考えるからだ(古い記事で恐縮だが、この記事の最後にある表を参照いただきたい)。

 それはさておき、久保氏は実際に進む様々な変化に言及する。所有価値から利用価値へ、売り切りから従量課金(サブスクリプション)へ、ものづくりでは「人&モノ」から「データ&人工知能(アナログからデジタル)」へ、生産量では「量産か一品モノか」から「マスカスタマイゼーション」へ、開発では「自社開発」から「他社協業(オープンイノベーション)」へ、といったことだ(図8)。社会的規範が大きく変わるパラダイムシフトが2000年を境に、不連続な形で起きているという。

図8:2000年を境に価値観などのパラダイムシフトが進む図8:2000年を境に価値観などのパラダイムシフトが進む
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