労働人口が減少に転じ、様々な業界で深刻な人員不足に陥ることが懸念されている。特に心配なのが、特殊な現場での専門家たちの高齢化だ。例えば製造ラインの検品係などは、長年の経験があって初めて、高い精度で不良品を発見することができる。そういった専門家たちの代替えとして期待されているのがAI(人工知能)だ。目視で不良品を発見する検品係の場合、IT側に求められるのはディープラーニングによる画像認識技術だ。NTTコムウェアは2017年3月1日、企業における専門家の「目」の役目を果たすことのできる「Deep Learning画像認識プラットフォーム」の販売を開始した。
第三次人工知能ブームの主役のひとつとして注目されているディープラーニング。その特徴のひとつは、従来の機械学習では人間が介在していた特徴の定義を人工知能が自分で行うことにある。ディープラーニングの登場で、音声認識や言語処理とともに進化が期待されているのが画像認識だ。
機械学習では、画像を識別する際に人間が特徴点を定義する必要がある。この場合、画像が複雑化すると人間では特徴点を抽出しきれなくなり、正確に画像を識別するのは難しくなる。この特徴点の定義付けを人工知能が自ら行ってくれるディープラーニングは、画像認識の実利用に大きく貢献している。
NTTコムウェアは、2013年からディープラーニングのビジネス利用に向けた研究開発に取り組んできており、その成果を受けて、同社のいう「3M領域」向けに画像認識技術を製品化した。3M領域の3Mとは「Monitoring」「Maintenance」「Manufacturing」のことで、それぞれ法人事業における「監視・検閲」「保全・点検」「製品検査」にあたる。Deep Learning画像認識プラットフォームは、この3領域で専門家不足を補う製品となっている。
例えば「監視・検閲」では監視カメラに不審な人物が移り込んでいないか、あるいはインターネットの写真アップロードサイトで不適切な写真を判定するといった利用シーンが想定される。「保全・点検」ではビルなど建物の壁面の劣化判断、「製品検査」では工場の製造ラインでの不良品の検出など、熟練者、専門家が担っていた業務への支援・代替が考えられる。
また、Deep Learning画像認識プラットフォームは、自分たちで画像をAIに覚えさせる追加学習によるチューニングが行えるのが特徴となっている。APIを備えており、既存システムやこれから追加するシステムとの連携も容易となっている。