中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。
中国が世界2位のVR(仮想現実)市場に
―青亭網(2017年2月22日)
2016年は中国のVR(Virtual Reality:仮想現実)産業にとって急成長の1年になったようだ。英国の市場調査会社カナリス(Canalys)の統計によると、2016年に中国で出荷されたVRヘッドマウントディスプレイは30万台で、世界市場シェアで約15%、2位に躍り出た。
中国市場でのトップは台湾HTCで、シェアは中国市場全体の18%になった。同社の主力商品であるViveの中国での出荷数は約5万台。その後を中国大陸メーカーの大朋VR(Dee Poon)が追いかけており、同社はシェア17%となった。
Canalysのアナリスト劉建森氏は、「HTCは今後はB2B市場を強化し、市場トップの地位を確保するだろう。HTCは製品の品質が良いだけではなく、コンテンツ製造メーカー等へのユーザーエクスペリエンスデザイン(UX)を積極的に行っている」と語った。大朋VRに関しては、「現在、サムスン(Samsung)と業務提携しており、大朋VRの主力製品であるM2のシリコンとディスプレイはサムソン製を使用している。このままHTCへの攻勢を強めていけば、VR端末の価格低下やコンテンツの多様化に貢献するはずだ」とした。
また、劉氏は、PlayStation4のユーザー層に対して、「ソニーのVRヘッドマウントディスプレイの出荷数は中国では3万台ほどで、その他の国では市場優位かもしれないが、中国でのシェアは第四位である」とした上で、今後ソニーの中国シェア拡大のためには、他国とのVRコンテンツ同時リリースを保障する必要があるとの見解を語った。
アリババが四川省と業務提携、農村部の貧困撲滅へ協力
―新浪サイエンス(2017年2月26日)
アリババグループは、傘下のインターネット金融事業者Ant Groupと共同で、四川省人民政府と三者間の戦略提携協定を締結した。インターネット金融、クラウド、ビックデータ、EC、流通バックボーン、観光、信用貸付などの事業を共同で実施するという。
アリババグループの取締役会長に相当する董事局主席の馬云氏は、中国共産党四川省委員会書記の王東明氏、四川省長(知事に相当)の尹力会氏らとの会談時に「五新」という理念を打ち出した。馬氏によると、「新たな小売業」「新たな金融業」「新たな製造業」「新たな技術」「新たなエネルギー」の「五新」が、今後30年の間に多くの業界に強い衝撃を与えるとの意である。同氏は、こうした理念の下、提携により四川省の発展に寄与したいと表明した。続けて王氏は、アリババとの提携は、四川省の産業転換や産業のアップグレードにおいて重大な意義をもたらすと表明した。
馬氏は、同社の「タオバオ」(淘宝)などEC事業の農村部へのさらなる浸透を通じて、四川省が実施する貧困対策事業に全面参加するとした。同社の農村部向けECサービス「農村タオバオ(cun.taobao.com)」の営業エリアはすでに24の県(事実上、日本の市町村に相当)をカバーしているという。
資料によると、四川省には183の県があり、省全体の農村部には272万人の貧困者がいるという。中国共産党四川省委員会が2017年最初に発した第1号文書では、16の貧困県、3700の貧困村、105万人の貧困人口における貧困を解消することを同委員会の任務と規定している。
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