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[実ビジネスに向けたブロックチェーンの基礎知識]

ブロックチェーンに対峙するIT部門は、まず何をすべきか【第5回】

2017年3月28日(火)小田 玄紀(ビットポイントジャパン代表取締役社長)

これまでビットコインやブロックチェーンについての説明や、金融分野にとどまらないブロックチェーンの広がりが海外の事例について紹介してきました。今回はIT部門の方が、これからのFinTechの流れで何をすべきかについて私見を述べさせて頂きます。

 1年前までは「Bitcoin=怪しい」というイメージが強く残っていました。それが最近では「Bitcoin=新しい」というイメージに変わりつつあるような気がしています。これもFinTechという大きな流れの認知が広がってきているためでしょう。そうした中、企業のIT部門においても、ブロックチェーンやFinTechに携わる機会が増えていくでしょう。そこで、IT部門が今後、FinTechにどう対峙していくべきかについて筆者が考える4つの“心構え”を挙げさせて頂きます。

心構え(1)予算消化のためにやらない

 実は今、多くの方から「『ブロックチェーン』や『FinTech』『IoT(Internet of Things)』というキーワードを付けると予算が通りやすい」という話を聞きます。これは社内予算を取る際だけでなく、政府の補助金や助成金申請の場でも同じような発言が聞こえてきます。例えば、従来と変わらぬインターネットで植物の生育状況を監視するといった取り組みでも、タイトルを『IoT技術を活用した植物生産』にすることで助成金が下りたという話があります。

 正直なところ、現時点では「ブロックチェーン」という言葉を使えば予算は通しやすいです。ただ、予算が確保できたからといって優れたシステムや事業を創出できる訳ではありません。ただ単純に予算を消化するための取り組はやるべきではありません。

心構え(2)「他社がやっているから」では、やらない

 最近顕著な例として、同業者がやっていることと同じことをやるケースや、同業者が出資したから自社も出資するというケースがあります。ブロックチェーンのような新しい取り組みは本来、一人ひとりが活躍しがいのあるものです。大きな成功を収められる可能性もあれば、失敗するリスクもあります。しかし失敗するリスクがあるからといって、他社と横並びの取り組みにしてしまうのは、あまりに勿体なくはないでしょうか。

 稟議を起案する際に「A社もやっているから当社も実施すべき」というほうが通りやすいということは分かります。ですが、それではあまりに勿体なく、先に挙げた「予算化のための取り組み」と変わりません。

心構え(3)自社の強みを活かしたサービスを考える

 ここまでは「~をしてはだめ」という観点で説明してきましたが、逆に何をすべきかという観点からみてみましょう。

 まずやるべきことは「自社の強みを活かしたサービスが何か」を考えることです。一定の顧客基盤があるなら、その顧客基盤を活かした取り組みにするべきだし、ブランドがあればブランドを最大限活用し、技術がある弱小資本の会社を取り込むことも考えられます。

 FinTechの動き自体は小さなベンチャー企業から発生することが多いのは確かです。ただ小さなベンチャーは、人材面・資金面・与信面など様々な点で欠けています。彼らに欠けている点は、多くの企業が持つ強みです。すべてを自らやるのではなく、FinTechベンチャーの弱みを補強できないかという観点で考えてみると自社の強みが見えてきます。ここを活かしたサービスや取りみ組を展開することが、1つのやり方です。

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