[クラウド分解辞典−Microsoft Azureの実像に迫る]
Microsoft AzureにおけるIoT関連サービスの概要【第11回】
2017年4月26日(水)村上 愼一(アバナード クラウド事業統括)
米Microsoftが開発し提供するクラウドサービスである「Microsoft Azure」(以下、Azure)の全体像に迫る本連載。前回は、音声認識などのユーザーエクスペリエンスを提供する「Azure Cognitive Service」を紹介した。今回は、Cognitive Serviceや機械学習の「Machine Learning」と関係が深い「Azure IoT」について解説する。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)は、「様々なモノがインターネットに接続され情報をやり取りするもの」などと表現されている。だが実際のビジネスシーンでは、もう少し具体的な活用が進んでいる。センサーデバイスを車や家電、ガスや電気、水道の計器などに仕込み、それらをインターネットに接続してデータを収集するなどだ。収集した大量のデータはデータセンターで処理・分析し、その結果をビジネス上で色々に活用する。
ここで重要なのが、IoTにおいては、数万、場合によっては数億のセンサーデバイスからデータをリアルタイムにインターネット上で収集する必要があることだ。収集したデータは、テラバイトあるいはペタバイトの規模になる。インターネットへの接続を前提にすれば、インターネットセキュリティに耐性の高いプラットフォームを利用しなければならない。これらIoTの特性がパブリッククラウドサービスの利用を必要としている。
IoT関連サービスに加えセンサーデバイスの認証も
パブリッククラウドである「Microsoft Azure」は、そうしたIoTを実装するのに必要な要素サービス群として「Azure IoT」を提供している。これらのサービスを組み合わせることで、数十億のセンサーデバイスを監視し、データを収集できるIoTシステムを構築できる。
Azure IoTが提供する主なサービスを表1に示す。これ以外にも、第9回で紹介した「Azure Machine Learning」などと連携することで、より精度の高い予測が可能になる。またIoTで収集・分析したデータの可視化においては「Microsoft Power BI」との連携機能も強化されている。
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ところで実際にIoTシステムを構築するにはまず、データの蓄積・分析のためのバックエンドシステムだけでなく、データを吸い上げるためのセンサーデバイスが必要になる。Azure IoTに接続できるセンサーデバイスとしては、メッセージングの標準プロトコル「AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)」などをサポートしていれば良い。だからといって自分でセンサーデバイスを作ったり探したりするのも大変だ。
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