IoT分野で北米最大規模とされるイベント「IoT World 2017」(主催:英Informa)が2017年5月16日から18日(現地時間)にかけて、シリコンバレーにあるサンタクララ・コンベンションセンターで開催された。出展社数は250を超えるが、日本からの出展は3社にとどまった。
「IoT活用による新たな価値を創出するパートナーシップとエコシステム」をテーマに掲げるIoT World 2017。2016年より3000人多い約1万4000人が参加した。IoTに取り組むユーザー企業のリーダーや、IoTの専門家やエンジニアらであり、IoTが浸透する市場の動きや技術トレンドなどを議題した。対象分野は、スマートホームやスマートシティから、エネルギーと農業、運輸と物流、製造、医療まで幅広い。
出展エリアには、250社以上がブースを構えた(写真1)。IoTを実現するためのセンサーやネット接続製品といったコンポーネントの展示のほか、システム開発やデーや分析、AIといったソリューションが展示された。IoTに特化したソリューションプロバイダーやコンサルティング会社が多数、活動していることがうかがえた。日本では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)を通じてサービスを開始した仏sigfoxも出展し、スマートパーキングなどをデモした。低消費電力の広域ネットワークとして、雨量や湿度といったデータを1日あるいは1時間に1回程度送るのに適しているとする。
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展示内容で目に付いたもの1つが、IoTプロジェクトを早期に立ち上げるためのIoTスターターキットである。数社が展示していた。例えば米AT&Tは、4G LTEのSIMカードを含むハードやソフトからなるIoTスターターキットを99ドルから提供する。IoTセキュリティ分野も出店者数が多かった。SSLサーバー認証書を発行するdigicert、ソースコードの欠陥とその解決を図るソースコードアナライザを販売するTRUST IN SOFT(TIS)などだ。TISは2013年5月の設立だが、既に日本の電機会社をユーザーに獲得しているという。
スタートアップが100社以上の中で日本企業の出展は3社
展示エリアには「スタートアップシティ」と呼ぶコーナーもある。IoTプラットフォームを展開するUbidotsなど約100社のスタートアップ企業が自社の商品やサービスの説明に力を入れていた。これに対し、IoT World 2017に出展した日本企業は、わずかに3社だった。
IoTのための通信環境などを展開するソラコムが、その1社(写真2)。安価なSIMカードの利用例を業種別に展示することで、同社サービスを米国市場に売り込んだ。同社がIoT Worldに出展するのは、これが初めてだ。他の2社は、計測器のアンリツと、半導体メーカー、ルネサス エレクトロニクスの現地法人。ルネサスはIoTアプリを開発するための「sandbo」を展示した。
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海外と日本の動きで、展示と同じ状況にあるのが標準化への取り組みだろう。IoTプラットフォームの標準化をめぐる動きが活発化する中で、IIC(Industrial Internet Consortium)と、統合開発環境EclipseのIoTメンバーの2グループが、それぞれの取り組みの紹介に力を入れていたが、日本の標準化団体の動向はそこには見られない。
IICは、米GEなどがリードする産業用IoTプラットフォームの推進団体。EclipseのIoTメンバーは、IoTデバイスやゲートウエイ、クラウドプラットフォームへのオープンソースソフトの利用を推進している。後者のメンバーとしては、Javaを展開するAZULシステムズやIoTソリューションを提供するEurotechが説明していた。
GEパワーやフォード、FBIなどが最新状況を講演
IoT World 2017での講演数は400以上に上る(写真3)。IoT活用の先行企業であるGEパワーやフォード、トヨタ自動車、FBIなどのCTO(チーフ・テクノロジ・オフィサー)やCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)らが登壇し、IoTを活かしたビジネスおよび産業動向などについて語った。ヘルスケア大手のジョンソン&ジョンソンのCIOやコラ・コーラのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)らによるパネルディスカッションも注目を集めた。IoT関連の最新テクノロジーを駆使したビジネスモデルや変革について議論した。
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MicrosoftやHPE(ヒューレット・パッカード エンタープライズ)などのITベンダーは、IoTプラットフォームの業種別の活用事例やセキュリティの重要性を説くパネルディスカッションを展開した。
なおIoT Worldと並行して、自動車の変革を議論する「Connected&Autonomous Vehicles Conference」が同時開催された。自動車メーカーや部品メーカー、ソフト会社らが参加し、AIや機械学習、ライドシェア、保険、ビジネスモデルなどを議論した。GM(ゼネラル・モーターズ)やフォードスマートモビリティ、HPEなどからは、自律走行における2020年以降のロードマップを示された。
次回のIoT World 2018は、2018年5月14日〜17日(現地時間)に同じ会場で開催される。