ベリタステクノロジーズは2017年7月14日、都内で説明会を開き、同日発表した新製品「Veritas HyperScale for Containers」を含む同社のSDS(Software Defined Storage)製品群について説明した。大きく、OpenStack環境とDockerコンテナ環境向けに性能と容量を両立するSDSソフト「HyperScale」と、クラウドストレージを組み合わせて容量の効率化が図れるSDSソフト「Access」の2種類がある。
ベリタステクノロジーズの「Veritas HyperScale」は、同時に起動しなければならない仮想マシンやアプリケーションコンテナが少ない場面に適したストレージソフトウェアである(図1)。
立ち上げる可能性のあるすべての仮想マシンを安価なSATAディスクに格納しておき、仮想マシンを立ち上げる際にデータをSATAディスクから高速なSSDにコピーして使う、といった使い方ができる。これにより、ストレージ性能とデータ容量を両立できる。
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2層のアーキテクチャをとる。全データを格納する安価なストレージである「データプレーン」と、起動している仮想マシンやコンテナがアクセスする高速なストレージである「コンピュートプレーン」である。いずれの層も、Linux上にインストールして使う分散ストレージソフトによって外部ストレージ機能を実現する。ノード数を増やすことによって性能と容量を拡張できる。
仮想マシンやコンテナが起動すると、データプレーンからコンピュートプレーンにデータをロードする。仮想マシンやコンテナは、コンピュートプレーンをストレージとして利用する。ストレージ上のデータを更新した際には、数分に1度、更新差分をコンピュートプレーンからデータプレーンに転送してマスターイメージを更新する。
コンピュートプレーンだけを見ると、いわゆるHCI(Hyper-Converged Infrastructure)に組み込まれた分散ストレージソフトと同じ構成となっている。例えば、HyperScale for OpenStackの場合、汎用PCサーバーの上で、仮想マシンを動作させるハイパーバイザ(LinuxのKVM)と、Linux上で動作する分散ストレージソフトが共存する。
2層のアーキテクチャをとることの別のメリットとして、データバックアップやスナップショットといったストレージ管理機能をコンピュートプレーンからデータプレーンへと移管できる。これにより、ストレージ管理機能による負荷からコンピュートプレーンを解放できる。
階層化でAmazon S3にファイルを移動できる分散ストレージ
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HyperScaleと並ぶもう1つの同社のSDSが「Veritas Access」である(画面1)。Accessも汎用PCサーバーにインストールして使う分散ストレージソフトであり、ノード台数を増やすスケールアウトによって容量と性能を拡張できる。
業務サーバーなどからは、NAS(ファイルサーバー)として利用できる。ファイルアクセス用のプロトコル(NFS/SMB)とFTP(ファイル転送プロトコル)でアクセスする。さらに、Amazon S3互換のAPIを介してS3互換のオブジェクトストレージとしてもアクセスできる。
最大の特徴は、仮想化する元となるストレージとして、PCサーバーの内蔵ストレージのほかに、外部のクラウドストレージ(Amazon S3)やSAN接続ストレージを組み合わせられること。Accessの設定画面内で、ファイルシステムに連結するS3ストレージを指定できる。
内蔵ストレージとクラウドストレージは、階層型で運用できる(図2)。例えば、90日間アクセスがないファイルをクラウドストレージに移動させたり、MP3形式の音楽ファイルをクラウドストレージに配置したりできる。ファイルの実態がクラウドストレージ上にあっても、業務サーバーはファイルのありかを意識することなくファイルにアクセスできる。
新製品のそれぞれの発表日/出荷日は以下のとおり。2017年7月14日に発表した新製品が、HyperScaleのDockerコンテナ環境向けに当たるHyperScale for Containersである。HyperScaleのOpenStack環境(仮想マシン環境)向けに当たる「HyperScale for OpenStack」は2017年5月に発表済み。もう1つのソフトであるAccessは2017年2月に発表済みである。
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