[新製品・サービス]

NECがデジタルトランスフォーメーションへの取組み強化で4つの新サービス発表

2017年11月10日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

NECは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への取り組み強化を宣言、具体的な方策として4つのDX関連ソリューションを発表した。加えて、NECの社員1万7千人に教育・育成プログラムを施し、2018年度中にDX専門部隊をグループで1千人に拡充する案も明らかにしている。NEC自らのデジタル変革をユーザーに還元していく方向性を示しているが、依然として売上の多くを占めているレガシーシステムとNEC自身がどう向き合っていくかが鍵となりそうだ。

 NECが提唱するDXソリューションは、アプリケーション領域とプラットフォーム領域で構成されている。アプリケーション領域には、業種ごとに用意されたアプリケーションと、「マーケティング変革」「セキュリティ/セーフティ」「働き方改革」という3分野の業種共通アプリケーションがある。

(図1)NEC DXソリューション
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 今回、業種アプリケーションから流通分野の「集客施設価値向上」、運輸分野の「鉄道オペレーション&メンテナンス」という2つの新アプリケーションが発表された。

 集客施設価値向上ソリューションは、登録データや利用履歴、画像データなどをもとにAIを駆使して来場者予測・売上予測・需要予測を高精度に実現、効果的な集客施設や施設の運用効率化を支援する。

 鉄道オペレーション&メンテナンスは、障害発生時の復旧手段などの鉄道オペレーションを機械学習し、最適な作業順序や復旧までの時間を提示するほか、設備状態の将来予測や劣化要因を提示する。

 プラットフォーム領域からは、「NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」と「NEC 映像分析基盤」が発表された。

(図2)NEC the WISE IoT Platformのソリューション構成
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 NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習は、複数のデータ群から複数の規則性を発見できるNEC独自の異種混合学習技術をエンジンに用いたAI活用プラットフォーム。データサイエンティストによる「検証」、アプリケーション開発者による「導入」、ユーザーによる「活用」を支援する。

 NEC 映像分析基盤は、映像入力、人数、年齢性別、顔検索、顔照合など映像分析エンジンを用途に応じて組み合わせたテンプレートを用意、開発を効率化したプラットフォーム。まずはオンプレミス版で提供され、2018年度中にクラウド版を提供予定となっている。

組織や人材教育・育成も強化

 ユーザーのDX実現のため、DXの専門部隊を2018年度中にグループで1千人に拡充するとしている。専門部隊は、DXへのプロセス全体を統括する「バリュークリエータ」、最新技術の伝導役である「エバンジェリスト」、ビジネスアイディアを創出する「SME(Subject Matter Expert)」、データ分析のプロである「データサイエンティスト」、ビジネスアイディアを視覚化する「ビジネスデザイナー」で構成される。

 更に、NECの社員約1万7千人に対して教育・育成プログラムを実施していき、開発者や営業、SEなどのDX実現部隊の増強を継続的に図っていく考えも示している。

 NECでは、自らの経験、知見をユーザーに還元するのを目的に、営業・マーケティング、設計・開発、サプライチェーン、働き方など社内、グループ内の各所でDX導入を実践してきた。

執行役員兼CMOの榎本亮氏

 一方でNECの台所事情を見ると、依然としてレガシーなハード、ソフトの売上が大半を占めており、ユーザーに対して既存のハードやシステムを捨てるような提案を行うのは難しいのが現状だ。

 執行役員兼CMO(チーフマーケティングオフィサー)の榎本亮氏は、社内の評価体制にメスを入れ、「例えばクラウドやDXといったサブスクリプション型の売上の社内評価を上げるなど、NECとしてユーザーにデジタルビジネスを積極的に提案できる環境作りを進めたい」としている。

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