[インタビュー]

「データサイロの背景にある“スキーマの呪縛”を新世代DBで解き放つ」─米MarkLogicのCEO

2017年12月22日(金)川上 潤司(IT Leaders編集部)

データ活用の巧拙がビジネスに直接的に影響を与えることは言を俟たない。それは百も承知でありながら、目の前の“データサイロ”を御せず悪戦苦闘する企業が引きも切らないのが現実だ。この構図に一石を投じる新しいタイプのデータベースを提供しているのがMarkLigicだ。同社のCEOを務めるゲイリー・ブルーム(Gary Bloom)氏に、昨今の状況と同社の戦略を聞いた(聞き手はIT Leaders編集部)。

─データ活用の高度化が喫緊の課題と言われながら、思ったような果実を手中に納められていない事例は枚挙に暇がない。背景には何があると見ているか。

 コンシューマビジネスを手掛けている企業が「カスタマー360°ビュー」と声高に叫んでいることが象徴するように、社内外から得られる種々のデータを駆使して“個客”を深く理解し、より効果がありそうな施策を打っていく試みが様々な業界で繰り広げられている。

 もっとも、話はそれほど単純なものではない。例えば、顧客管理システム、ハウスカードの管理システム、Webショップの管理システムなど、複数のシステムに散在しているデータに横串を刺そうとしても、多くの場合において、思い通りにデータを統合できないという壁に突き当たってしまう。つまりは、最初のステップから躓いてしまう企業がことのほか多いのだ。

米MarkLogicのCEOを務めるゲイリー・ブルーム(Gary Bloom)氏
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 なぜだろうか。何年もかけて、社内にRDB(リレーショナルデータベース)を乱立・サイロ化させてしまった結果として、データに関わる環境は複雑度を増し、何をするにも融通が利かずに手間ひま、そしてお金がかかってしまうという状況に陥ってしまっていることが背景にある。

 少し技術的な話をすると、RDBを使ったシステムでは、どのような種類のデータをどのような構造で格納するかを中心にビューや権限なども含めてあらかじめ明確に定義しておく必要がある。いわゆる「スキーマ」の定義だ。データの一貫性や整合性を担保しつつ大量のトランザクション処理を合理的にこなすのに必要な“作法”である。

 1990年代にオープンシステムが台頭して以降、従来のメインフレームに比べてシステムの規模も投資も抑えられることから企業はRDBをこぞって導入した。ダウンサイジングを旗印に、生産管理システムや販売管理システムなど個別用途のシステムを次々と稼働させてきた方も多いことだろう。

 不幸なことに、様々なシステムに横串を刺す形でデータを見たいというニーズが出てきたのは、前述の経緯に沿って「個別最適化されたシステム」が社内に乱立してしまってからのことだった。それは当初の想定に無かったこと。バラバラに定義されたデータベースの構造や、そこに蓄積されたデータに後から手を入れるのは技術的にも実作業的にも、かなりタフなことであり、一筋縄ではいかないことを改めて知ることとなった。

─データは社内のシステムの中にあるはずなのに、それを自在に扱えない。当座の問題を解決するために、さらに別のシステムをアドオンするような取り組みが延々と続いてきた。

 データは重要な経営資産であるにも関わらず使えない。例えて言うなら、現金を金庫に入れたはいいけれど施錠が複雑で必要な時に取り出せない。そんなもどかしい思いを何度も味わってきた。

 指摘の通り、眼前の壁を打ち破るためにどんな手が打たれたかというと、各所からデータを寄せ集めて分析するための新たなRDBを導入したり、もっと大規模なDWHやETLツールを導入したりということだった。短期的には効果を上げたものもあっただろうが、多くはデータのサイロ化をさらに助長する結果となったのではないだろうか。

 周知の通り、企業の周りのデータは加速度的に増加している。センサーのシグナル、ソーシャルメディア上の人々のつぶやき、Webサイト上のクリックストリーム、動画や静止画…従来からRDBが得意としていた構造化データのみならず、新たなタイプの非構造化データのボリュームが増し、それらを柔軟に扱える環境が求められている。データを巡る状況は大きな変革期にある。従来の延長線上で対処策を考えるのは無理があるのだ。

 しかも経営環境の変化は激化の一途。その時々の状況に応じてデータの使い方も都度見直さなければならないし、新しいデータソースもどんどん加わってくる。市場での勝ち残りをかけてM&Aもますます活発になり、シナジーを生むには双方のデータを速やかにビジネス価値につなげなければならない。

 ここで念頭に置いておかなければならないのは「データをどのように“料理”するか、あらかじめ決めておくのは非現実的」ということだ。つまり、これまでのRDBのアプローチが限界を迎えているということにほかならない。

─MarkLogicの立ち位置はどのようなものなのか? 創業の経緯や製品の概略をまず教えてほしい。

 話が長くなったが、ここまで話してきた構図に一石を投じようと2001年に起業したのが当社である。データサイロの問題を解決すると共に、これからの“変化の時代”に追従する新しいタイプのデータベース「MarkLogic」を市場に提供している。ビジネスのアジリティを追求するために、データにもアジリティをもたらさなければならないという強い思いが根底にある。

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