[インタビュー]

「データサイロの背景にある“スキーマの呪縛”を新世代DBで解き放つ」─米MarkLogicのCEO

2017年12月22日(金)川上 潤司(IT Leaders編集部)

データ活用の巧拙がビジネスに直接的に影響を与えることは言を俟たない。それは百も承知でありながら、目の前の“データサイロ”を御せず悪戦苦闘する企業が引きも切らないのが現実だ。この構図に一石を投じる新しいタイプのデータベースを提供しているのがMarkLigicだ。同社のCEOを務めるゲイリー・ブルーム(Gary Bloom)氏に、昨今の状況と同社の戦略を聞いた(聞き手はIT Leaders編集部)。

データベースの世代交代は確実に進みゆく

 データベースの市場を見ると、経験の長いメガベンダーが苦戦しているものの、全体ではまだ伸びている。実態としては、NoSQLを筆頭とする新しいプレーヤーの活躍の場が広がっているということだ。30年ほど前、メインフレームが不得手とする処理を担うデータベースとしてRDBが登場し、世代交代が進んできた経緯がある。それと同じ構図で“ポストRDB”への移行が進みゆくだろう。

 注目されるNoSQLだが、おしなべてエンタープライズグレードのセキュリティやガバナンスの機能がないことが懸念材料に挙げられている。前述の通り、当社は最初の設計段階から可用性や安全性、確実性へのこだわりがあり、かつ、強化を続けてきた。最新版となる「9」では、特にセキュリティの機能を充実させた。国際規格「ISO/IEC 15408」の厳格なレベルの認証を受けており、これはミッションクリティカルな分野でMarkLogicを使いたいという声に応えるものだ。

 歴史の長いところから新興系まで分野ごとに多くのプレイヤーが群雄割拠する昨今のIT業界を対象に、先見性や具現性の観点で米ガートナーがベンダーをポジショニングしているMQ(Magic Quadrant)をご存じの方は多いだろう。MarkLigicは、オペレーショナルデーターベースの市場でチャレンジャーの最高位に位置づけられた。NoSQLベンダーで、この象限に昨年に続いて残ったのは当社だけである。企業が求めるミッションクリティカルでオペレーショナルかつトランザクショナルなデータベースの選択肢として、MarkLogicが認知されるようになった証左だ。

 他のベンダーも今、構造化データのみならず非構造化データを含めて柔軟に扱えるとする自社プラットフォーム像の訴求に懸命だ。しかし、中には屋上屋を架すような構造で、私には“ロンドンの地下鉄路線図”のごとく複雑に映るものも少なくない。MarkLogicは、それ一つで悩ましい問題に対峙できる一枚岩のソリューションであることを強調したい。

─日本市場での近況、ならびにパートナー戦略を含めた事業展開について聞かせてほしい。

 実は私は以前、オラクルに在籍し、日本でのビジネス拡大や株式公開に携わっていたことがある。力あるパートナーに恵まれ、国内企業の厳しい要求に寄り添いながら製品の機能もどんどんよくなっていったことを思い出す。

 当時、オラクルのデータベースに将来性を感じて真っ先に声をかけてきた企業、具体的にはNTTデータや富士通、伊藤忠テクノソリューションズといったベンダーが今、MarkLogicのパートナーになっていることは興味深い。ユーザー企業の悩み、テクノロジーの節目といったものを敏感に察知して、いち早く行動を起こしたのだろう。個人的に経験した、2つの似通ったシーンを比べると、ミッションクリティカルの領域に受け入れられるまでに要した時間はMarkLogicの方がはるかに短かったことも申し伝えておこう。

 NTTデータとは2009年から協業関係を築いていたが2017年5月には、資本業務提携という形でさらにタッグを強化した。MarkLogicの基盤上にNTTデータの独自技術を組み合わせてソリューションを形作ることにも積極的で、そうしたテクノロジーやノウハウはグローバルに展開される。富士通は同社のクラウド基盤「K5」を活かし、オンプレミスやクラウド、さらにはハイブリッドなど顧客のニーズに合わせてMarkLogicを展開していく構えだ。

 ほかにもパートナーエコシステムは着々と整っており、規模の大きなプロジェクトも始動し始めている。MarkLogicの技術、そしてパートナーのSIの知見を一点に集中させ、日本企業のデータ統合に関わる諸問題を解決するお役に立てれば幸いだ。何か悩みがあれば是非声をかけていただきたい。
 

関連キーワード

MarkLogic / CEO

関連記事

トピックス

[Sponsored]

「データサイロの背景にある“スキーマの呪縛”を新世代DBで解き放つ」─米MarkLogicのCEO [ 3/3 ] データ活用の巧拙がビジネスに直接的に影響を与えることは言を俟たない。それは百も承知でありながら、目の前の“データサイロ”を御せず悪戦苦闘する企業が引きも切らないのが現実だ。この構図に一石を投じる新しいタイプのデータベースを提供しているのがMarkLigicだ。同社のCEOを務めるゲイリー・ブルーム(Gary Bloom)氏に、昨今の状況と同社の戦略を聞いた(聞き手はIT Leaders編集部)。

PAGE TOP