Skeedは2017年12月21日、新たな方式の高速ファイル転送技術の開発に成功したと発表した。JavaScriptが動作するWebブラウザさえあれば、遠距離でも大容量ファイルを高速に転送できるとしている。ファイル転送プロトコルのベース部分にはHTTPを使う。現在、本技術を搭載した製品開発に取り組んでおり、2018年2月をめどに市場に投入する予定である。
Skeedは元々、UDPベースのファイル転送プロトコル「SSBP」(Skeed Silver Bullet Protocol)を用いたファイル転送ソフトを提供してきた。SSBPの特徴は、送達確認(ACK)のないUDPを使うことと、パケットを送信するペースを、輻そうを起こさない程度に自動で調整することである。これにより、遅延時間が大きい遠距離でのTCP/IP通信を高速化する。
ただし、SSBPは独自のプロトコルであるため、ファイルを送受信するためには、専用のクライアントソフトをパソコンにインストールしたり、Java Web StartのようなWebダウンロード型のJavaプログラムを動かしたりする必要があった。
今回、Java Web Startなどの専用のクライアントソフトを使うことなく、Webブラウザの基本機能(HTTP通信機能や、JavaScript実行エンジン)だけでファイルを転送できるように、ファイル転送プロトコルとしてSSBPではなくHTTPを使った高速ファイル転送の仕組みを開発した。単にWebブラウザからWebサーバーにHTTPでファイルを転送するよりも高速に転送できるという。
高速にファイルを転送できる詳細な仕組みは非公開だが、帯域制御によって空き帯域を有効に活用するという。こうした制御を行うためのクライアント機能を、JavaScriptとして実装した。Webブラウザから、ファイル転送サーバーとなるWebアプリケーションにアクセスし、JavaScript(クライアント)を入手する。こうして、Webブラウザ上でJavaScriptが動作することによって、Webブラウザとファイル転送のサーバーとの間で高速にファイルを転送できるようになる。
通常のHTTPとの速度比較(所要時間の実測値)は、以下の通り。
ファイル容量 | Skeed新技術 (3回平均) |
HTTP (3回平均) |
対速度比較 |
---|---|---|---|
128MB | 16.86秒 | 41.77秒 | x2.5 |
256MB | 38.55秒 | 75.88秒 | x2.0 |
512MB | 105.78秒 | 146.30秒 | x1.4 |
ファイル容量 | Skeed新技術 (3回平均) |
HTTP (長時間のため1回) |
対速度比較 |
---|---|---|---|
128MB | 16.17秒 | 287.38秒 | x17.8 |
256MB | 23.69秒 | 554.48秒 | x23.4 |
512MB | 45.60秒 | 1022.16秒 | x22.4 |