[市場動向]

遠距離でも高速なファイル転送技術、SkeedがUDPベースではない新方式を開発

2017年12月22日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

Skeedは2017年12月21日、新たな方式の高速ファイル転送技術の開発に成功したと発表した。JavaScriptが動作するWebブラウザさえあれば、遠距離でも大容量ファイルを高速に転送できるとしている。ファイル転送プロトコルのベース部分にはHTTPを使う。現在、本技術を搭載した製品開発に取り組んでおり、2018年2月をめどに市場に投入する予定である。

 Skeedは元々、UDPベースのファイル転送プロトコル「SSBP」(Skeed Silver Bullet Protocol)を用いたファイル転送ソフトを提供してきた。SSBPの特徴は、送達確認(ACK)のないUDPを使うことと、パケットを送信するペースを、輻そうを起こさない程度に自動で調整することである。これにより、遅延時間が大きい遠距離でのTCP/IP通信を高速化する。

 ただし、SSBPは独自のプロトコルであるため、ファイルを送受信するためには、専用のクライアントソフトをパソコンにインストールしたり、Java Web StartのようなWebダウンロード型のJavaプログラムを動かしたりする必要があった。

 今回、Java Web Startなどの専用のクライアントソフトを使うことなく、Webブラウザの基本機能(HTTP通信機能や、JavaScript実行エンジン)だけでファイルを転送できるように、ファイル転送プロトコルとしてSSBPではなくHTTPを使った高速ファイル転送の仕組みを開発した。単にWebブラウザからWebサーバーにHTTPでファイルを転送するよりも高速に転送できるという。

 高速にファイルを転送できる詳細な仕組みは非公開だが、帯域制御によって空き帯域を有効に活用するという。こうした制御を行うためのクライアント機能を、JavaScriptとして実装した。Webブラウザから、ファイル転送サーバーとなるWebアプリケーションにアクセスし、JavaScript(クライアント)を入手する。こうして、Webブラウザ上でJavaScriptが動作することによって、Webブラウザとファイル転送のサーバーとの間で高速にファイルを転送できるようになる。

 通常のHTTPとの速度比較(所要時間の実測値)は、以下の通り。

(1)東京から大阪への転送(Azure Japan West D2S_V3 Standard Ubuntu Server 16.04)
ファイル容量 Skeed新技術
(3回平均)
HTTP
(3回平均)
対速度比較
128MB 16.86秒 41.77秒 x2.5
256MB 38.55秒 75.88秒 x2.0
512MB 105.78秒 146.30秒 x1.4
(2)東京から米国オレゴン州への転送(AWS Oregon m4.large Amazon Linux)
ファイル容量 Skeed新技術
(3回平均)
HTTP
(長時間のため1回)
対速度比較
128MB 16.17秒 287.38秒 x17.8
256MB 23.69秒 554.48秒 x23.4
512MB 45.60秒 1022.16秒 x22.4
関連キーワード

Skeed / R&D / TCP/IP / インターネット / 帯域制御

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