米CA Technologiesが「モダン・ソフトウェア・ファクトリー」を掲げアジャイル開発やDevOps(開発と運用の融合)のための製品/サービスを強化している。その対象プラットフォームにメインフレームを含む点は、同社の特徴の1つだろう。同社は、デジタル変革の時代にメインフレームをどう位置付けているのか。メインフレーム担当ゼネラルマネジャーのアショック・レディ(Ashok Reddy)氏に聞いた。
──脱メインフレームが叫ばれて久しい。昨今はデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応が課題になっているだけに拍車が掛かっているのではないか。
メインフレームのユーザー数は把握していないが、計算処理能力を示すMIPS (秒間100万命令を実行可能)値でいえば、年間8〜10%の伸びを見せている。大手企業のなかには1社で5000MIPSを所有するところもある。デジタルトランスフォーメーションによりモバイルアプリケーションが増えれば増えるほど、メインフレームへのトランザクションが発生し、結果として、より多くのMIPSが必要になるからだ。
メインフレームのMIPS値を伸ばしているのは、銀行や保険、小売り、空港といった業界である。デジタルトランスフォーメーションの時代になり、新しいアプリケーションやサービスが注目されているが、忘れてはならないのはデータの存在だ。データは現代の“キャッシュ(現金)”あるいは“ニューオイル(新たな石油)”である。昨今は、そこにセキュリティ要件も加味しなければならない。ミッションクリティカルなデータほどメインフレーム上に存在することになる。実際、企業データの8割はメインフレーム上にある。
──そのメインフレームをデジタルトランスフォーメーション時代に活用するのに必要な仕組みは何か。
自動化であり、その実現に向けて機械学習などのAI(人工知能)を活用することだ。メインフレームの性能を最大限に引き出すことは熟練の技術者でなければ難しいのが現実だ。処理能力の拡大や最適化、負荷の再配置、新たなアプリケーションの開発など、なすべきことは多い。ただ残念ながら、メインフレームに関する技術を新たに身に付けようとする若手が少ないことは否定できない。
こうした部分をAIで補うことで、ミッションクリティカルなデータを最新のモバイルアプリから利用できるようにする。そのためのソフトウェアとして当社は2017年11月に、「CA Mainframe Operational Intelligence」「CA Dynamic Capacity Intelligence」「CA Trusted Access Manager for Z」のメインフレーム向け製品を発表してもいる。
Mainframe Operational Intelligenceは、メインフレームの障害発生を事前に予測し自動修復させるためのソフトウェアで、SLA(サービスレベル契約)に影響がでないようにできる。Dynamic Capacity Intelligenceは、月額利用料金を基準に最適な処理環境を自動的に構成する。
Trusted Access Manager for Zは、IBM製メインフレームのセキュリティをさらに高めるためのソフトウェアで、企業のコンプライアンスニーズにも応えられる。
メインフレームを製造する米IBMもAI機能としては「Watson」を展開しているが、これは汎用的なニーズに応えようとしている。当社が提供するAIは、メインフレーム環境に特化したものであり、ここではIBMとは協力関係にある。
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