日立製作所は2018年3月29日、機器やセンサーから得たOT(Operational Technology、制御・運用技術)データと業務システムのITデータを統合的に分析する、社会・産業インフラ向けのデータ分析基盤を整備したと発表した。本基盤を活用したデータ準備・分析のためのサービスを、2018年4月2日から提供する。価格は個別見積もり。
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データを一元管理するデータレイクの構築から、分析のためのデータ準備・管理、AIやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用した分析サービスまで、トータルに提供する。これにより、鉄道・電力・ガスなどの社会インフラ分野、製造プラントなどの産業分野における現場データの利活用を支援する。
日立製作所は今回、サービスを支える2つの基盤ソフトを開発した。「Big Data Discovery」(BDD)は、各種機器やセンサー、業務システムなどからデータを収集し、分析目的のデータを抽出・作成するソフトである。「NX Context-base Data Management System」(CDMS)は、分析者の視点でデータ構成を再定義して管理するためのソフトである。
これらのソフトを使ったサービスを、2つ用意した。
サービス名 | 内容 | 価格(税別) | 提供開始時期 |
---|---|---|---|
現場データ準備・可視化サービス | データを収集・蓄積する環境を提供し、分析目的のデータの抽出・作成を容易にするサービス | 個別見積もり | 2018年4月2日 |
現場データ管理サービス | 社会・産業インフラから得られるさまざまな業務や現場データに対し、分析者視点での再定義を行い関係性を容易に管理するサービス | ||
プロフェッショナル分析サービス | 分析対象として明らかになったデータを、本格的に分析するためのサービス | 提供済み |
(1)「現場データ準備・可視化サービス」は、各所に散在する機器・センサーや業務システムなどから、必要なデータを1つのデータレイクに継続的に集約し、分析目的のデータを容易に抽出・作成できるサービスである。BDDを使うことで、集約した膨大なデータの中から、分析者が着目した項目と類似した名称の項目を容易に見つけ出すことができるという。
(2) 「現場データ管理サービス」は、機器やセンサーから得た現場データの関係性を容易に管理できるサービスである。CDMSを使って現場データの構成などを分析者視点で再定義できる。これまで業務や現場システムに精通する専門家しか取り扱えなかったデータを、さまざまな分析やアプリケーション開発で利活用できるようにする。
今回提供するデータ分析基盤は、大量データを高速に分散処理するイベント駆動型フレームワーク「Hitachi Application Framework/Event Driven Computing」(HAF/EDC)や、OTデータに分析に必要な情報を付与して収集する「監視制御データ活用基盤 NX IoT Gateway」に、BDDやCDMSといった新規開発のソフトウェアを組み合わせ、社会・産業インフラ向けに整備したものである。
サービス提供の背景について日立は、鉄道や電力・ガスなどの社会インフラ分野や、製造プラントを持つ産業分野において、データの利活用によるメンテナンスの高度化や新規サービスの創出などを目的に、ビッグデータ分析の業務への応用が期待されていることを挙げる。「一方で、各種のデータを統合して分析するためには、形式の統一や類似データの統合などの事前準備が必要になる。この事前準備作業がデータ分析を業務へ適用する上での障壁となっている」(同社)。