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マルイ農協、鶏舎で死んだ鶏を画像認識、精度90%以上で斃死鶏を検知

2018年5月28日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

マルイ農業協同組合(マルイ農協)とNECは2018年5月28日、鶏舎における鶏の健康管理と鶏卵品質の向上のため、斃死鶏(へいしけい、ケージ内で死んだ鶏)をAIを使って発見するシステム「斃死鶏発見システム」を共同開発したと発表した。2017年5月からマルイ農協の組合員農場において実証してきたシステムであり、2020年度の実用化を目指す。

 ケージ内で死んだ鶏を、機械学習を用いた画像認識によって自動で検知するシステムである。鶏舎内の通路を専用の台車で回り、ケージ内を撮影する。この動画を、あらかじめ学習させた36万枚の画像と照合して斃死鶏を検知する。ケージは1鶏舎あたり8000個あり、鶏は8万羽に及ぶ。

写真1●実証実験の様子。専用の台車でケージ内を撮影する(出所:マルイ農業協同組合、NEC)写真1●実証実験の様子。専用の台車でケージ内を撮影する(出所:マルイ農業協同組合、NEC)
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 検知システムを導入すると、8万羽の鶏を作業員が目視で1羽1羽確認しなくてもよくなる。さらに、鶏舎のどの位置のケージに斃死鶏がいるのかが分かるため、作業を効率化できる。実証実験では、90%以上の高精度で斃死鶏の検知を確認するとともに、従来と比べて斃死鶏検知時間を5分の1に削減した。

写真2●カメラ画像を映したシステム画面(出所:マルイ農業協同組合、NEC)写真2●カメラ画像を映したシステム画面(出所:マルイ農業協同組合、NEC)
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 取り組みの背景について同社は、採卵事業において、鶏舎のケージ内における鶏の健康の把握・管理作業が重要であることを挙げる。特に、ケージ内の斃死鶏の見逃しは、重大な品質問題を引き起こす可能性があるという。

 現状、鶏舎では、作業員が毎日各ケージの斃死鶏の検知作業を目視で行っており、作業員の負荷が非常に高くなっている。近年、採卵事業者の規模拡大にともない、鶏舎大型化による設備の機械化や自動化は進んでいるが、斃死鶏検知作業は人の作業に依存していた。

 今後両者は、本システムにロボティクス技術を組み合わせた台車の自動走行の実現も視野に取り組んでいく。

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