[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2018年7月の3本:三菱地所とSAPが「デザイン思考」の拠点を開設/NTTデータが金融勘定系システムのオープン基盤を提供/BBTが3大IX事業者と連携

2018年8月7日(火)松岡 功(ジャーナリスト)

2018年7月のニュースから松岡功が選んだのは、「三菱地所とSAPが『デザイン思考』の拠点を開設」「NTTデータが金融勘定系システムのオープン基盤を提供」「ブロードバンドタワー(BBT)が3大IX事業者と連携」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。

三菱地所とSAPが「デザイン思考」の拠点を開設

 三菱地所とSAPジャパンが2018年7月2日、東京・大手町の「大手町ビル」に、企業のイノベーションを支援するための活動拠点「TechLab」(仮称)を11月に開設すると発表した。三菱地所が大規模リノベーションを進める大手町ビル6階で、広さは約2000平方メートルを計画。両社が協業して、ファシリティの運営やデザインシンキング(デザイン思考)などのプログラムを提供することで、イノベーションの実現に向けたコミュニティを構築するとしている(写真1)。

写真1:「TechLab」(仮称)のイメージ(出典:三菱地所)

 TechLabには、SAPジャパンが3月に発足させたイノベーションを促進するためのオープンな異業種コミュニティ「Business Innovators Network」に参画するステークホルダーなどが入居する予定。デザインシンキングファシリテーターなどのSAPジャパンのスタッフが常駐し、デザインシンキングを中心としたイノベーションフレームワークに沿って、迅速かつ実践的な新規ビジネスの構築と検証を行っていく構えだ。

[選択理由]

 この動きをきっかけに、日本でもデザインシンキングの活用が本格化するのではないかと考えるからだ。

 SAPによると、デザインシンキングとは「実践的かつ創造的な課題解決の形式的手法であり、製品開発をはじめとしてさまざまな種類のビジネスにおいて活用できる。具体的には、人々のニーズを観察したうえで課題を設定し、アイデアを出し合うことで可能な限りの解決策を探り、そのアイデアを基にプロトタイプを作成し、実際にユーザーにおいてテストを行いながら試行錯誤を繰り返すことで、新たな製品やサービスを生み出し課題解決につなげるもの」としている。

 SAPはデザインシンキングについて、2004年にソフトウェア開発や自社のビジネスに取り入れ、2012年からは顧客との共同イノベーションの手段として提供している。そうした背景から、今回のTechLab開設についても、「長期にわたって世界中で実践してきたSAPの実績およびノウハウと、三菱地所のファシリティを融合させることで、日本ならではのイノベーション創出を支援していきたい」(SAPジャパンの内田士郎会長)と注力していく考えだ。

 デザインシンキングは他の有力ITベンダーも推進しているが、SAPが先鞭をつける形で、日本でも活用が広がっていくだろう。

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