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[市場動向]

古くて新しいバックアップ製品の今を知る―万一に備えるための選択のポイントとは

2018年8月20日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

CIOやIT部門責任者にとって重要な割に関心が高くないITソリューションの1つに、アプリケーションやデータのバックアップ製品が挙げられるかもしれない。企業情報システムでは昔から必須だし、きちんとできていて当たり前。今、改めて関心や注意を払うようなものではないとも言える。しかし、そんな”定番的”な分野でも変化が起きている。

 バックアップ製品分野の変化を示すのが、米IDCが公開した「Data Protection and Recovery Software」分野における2017年下半期のベンダー別業績データである。売上高トップはVeritas(6億1053万ドル)、これにIBM(5億2490万ドル)、Dell(EMC製品、4億4734万ドル)と老舗の大手が続く。しかし、その次に2006年設立であまり耳慣れないヴィーム(Veeam Software、本社:スイス)が3億5326万ドルで位置するのだ(図1)。

図1:米IDCのストレージシェア調査(出典:米IDC)
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 売上高以上に注目されるのが成長率で、Veeamは28.3%と非常に高い伸びを示している。定番的で安定しているバックアップ製品において、こんな変化が起きている背景には何があるのか。バックアップ製品の技術や機能のトレンドについて、Veeamの日本法人であるヴィーム・ソフトウェアに聞いてみた。結論を先に書くと①仮想化への対応②確実なリカバリー③利用できるストレージの多様性、といったポイントがあるという。

 なお、上記の米IDCのデータを教えてくれたのは、実のところVeeam。加えて、この記事に関してはVeeam以外のベンダーには取材していない。そうならないように配慮したつもりだが、Veeam寄りの視点になっている可能性がある点をご了承頂きたい。仮にそうであっても、バックアップ製品=Data Protection and Recovery Softwareの状況を理解する一助にしていただけると考えている。

リカバリーできない現実が今もある

 まず、①仮想化への対応について。Veeamが設立された2006年はVMwareをはじめとする仮想化技術が企業システムの本番環境に普及しはじめた時期であり、Veeamはそれ専用のバックアップ製品として登場した。VMwareを例にすると、VADPというVMware標準のバックアップ方式を採用している点はVeeamも他のバックアップ製品も同じだが、Veeamではバックアップやカタログ作成に要する時間を短縮する機能が実装されているという。

 加えて「例えば10TBのバックアップを戻す時に1TBだけをユーザーが選択して戻すことができる。必要なデータだけを戻せるので、リカバリーの時間を短縮することができる」(同社)。仮想環境の上では同時に複数のアプリケーション(仮想サーバー)が稼働する。当然だが、それをバックアップし、そしてリカバリーするのは物理サーバーのバックアップと同じではない。以前からある老舗のバックアップ製品とは、こうした点が異なるというわけである。なお、現在ではVeeamはWindowsやLinuxなどの物理サーバー、クラウド上のサーバーのバックアップもサポートしている。

 ②確実なリカバリーはどうか? ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清社長は、「システムやデータのバックアップからリストアしようとしても、システムが動かなかったり、意図した通りにデータが復旧しないといった事態が発生するケースは多い。復旧を試みた企業の4割ほどが遭遇している印象だ。”とりあえずの保険”としてバックアップを取っていることもあるのではないか」と語る。

 具体的には(1)バックアップデータの破壊などによる「仮想マシンが復旧しない」、(2)個々の仮想マシンは復旧してもネットワークやアプリケーションの設定の不備に起因する「システムが戻らない」、(3)システムが問題なくてもデータが障害発生前と同じ状態でないことによる「サービスが戻らない」といったパターンがある。そのためVeeamでは「システム復旧の際に確実かつ素早く復元して、ビジネスを止めない」ことを企業ミッションにしている。

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