日本ヒューレット・パッカードは2018年11月2日、重複排除機能付きのデータバックアップ専用ストレージ「HPE StoreOnce」を強化したと発表した。新たに、古いファイルをクラウドストレージに退避させる機能を追加したほか、バックアップ対象先のストレージとの連携を強化した。同日、強化版の販売を開始した。
日本ヒューレット・パッカードの「HPE StoreOnce」は、重複排除機能付きのデータバックアップ専用ストレージである。データの種類やバックアップの取り方にもよるが、バックアップ容量を20分の1程度に縮小できるとしている。さらに、バックアップソフトとの独自の連携機能(StoreOnce Catalyst)を使うと、データ送信元のサーバー側に重複排除の処理をオフロードできる。価格(税別、以下同)は、240万円から。仮想アプライアンスの「HPE StoreOnce VSA」は40万円から。
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今回の機能強化では、クラウドストレージ(Amazon S3、Azure)やAmazon S3互換ストレージソフト(Scality RING)にファイルを退避する機能「HPE Cloud Bank Storage」を追加した。HPE StoreOnceの容量の2倍を上限にクラウドストレージを接続し、階層型ストレージとして利用できる。バックアップソフトからはHPE StoreOnceだけが見える。HPE Cloud Bank Storageの価格は、5万円から。
HPE StoreOnceでHPE Cloud Bank Storage機能を使った場合、重複排除済みのファイルをクラウドストレージに退避することになる。このため、クラウドストレージの消費量を少なくできる。重複排除によってデータ量を20分の1に削減したとすると、クラウドストレージの費用も20分の1で済むことになる。
競合製品と比べたHPE Cloud Bank Storageの強みとして同社は、クラウド上のファイルを任意の拠点のHPE StoreOnceに戻せることを挙げる。HPE StoreOnce同士の間でメタデータ(ハッシュ値など)をあらかじめコピーしておく必要がなく、まっさらなHPE StoreOnceにクラウドからファイルを戻せる。
ただし、HPE Cloud Bank Storageを使うためには、重複排除の処理をデータ送信元のサーバー側にオフロードするモードであるStoreOnce Catalystを使ってファイルをバックアップしなければならない。このためには、StoreOnce Catalystを利用可能なデータバックアップソフトを使う必要がある。同社製ソフトのほかには、米Veritas Technologies、スイスのVeeam Software、米CommVault Systemsなどが該当する。
ストレージのスナップショット機能と連携して高速にバックアップ
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HPE StoreOnceストレージの機能を補完する位置付けにあるデータバックアップソフトも強化し、新版「HPE Recovery Manager Central 6.0」(RMC)を用意した。新版では、連携できるバックアップ対象ストレージとして、これまでの「HPE 3PAR」に加えて「HPE Nimble Storage」を追加した。
RMCの提供形態は、ストレージの外部で動作するソフト(仮想アプライアンス)だが、HPE 3PARおよびHPE Nimble Storageに無料でバンドルして提供する。2018年12月から提供する。
RMCの特徴は、バックアップ対象ストレージ(HPE 3PARおよびHPE Nimble Storage)が備えるスナップショット機能と連携することで、バックアップ先ストレージ(HPE StoreOnce)に高速にデータを格納できることである。バックアップ対象のアプリケーションと連携してバックアップ時にアプリケーションを静止させる機能も持つ。これらによって、効率よくデータをバックアップできる。
バックアップ容量に応じた従量課金モデル「HPE Green Lake Backup」も新たに用意した。重複排除前の、バックアップ対象のデータ量に基づいて課金する。「オンプレミスでありながらパブリッククラウドのような重量課金制で利用できる」(日本ヒューレット・パッカードでハイブリッドIT事業統括ハイブリッドIT製品統括本部カテゴリーマネージャーを務める諏訪英一郎氏)とアピールする。