[ユーザー事例]

自社の手が及ばない検索結果を改善―ヤマト運輸の顧客体験向上施策

2018年11月8日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

今日、店舗に行く前に場所や営業時間などをWebで検索するのは当たり前の行動となっている。だが、そこで表示された検索結果が最新のものではなく間違っていたら、店舗にとっては最大の機会損失であり、最悪のユーザーエクスペリエンス(顧客体験)になってしまう。自社サイトの管理はできても、検索サイトなどが表示する最新の結果までは手が回らず、知らず知らずのうちにビジネスチャンスを逸しているかもしれない。ヤマト運輸は「Yext Knowledge Manager」を導入してこの問題に対処し、顧客満足度の向上を目指している。

 ヤマト運輸が導入し、運用を開始した「Yext Knowledge Manager」。Yextは、Google検索やGoogle Mapなどのサービスを介して示される情報を、情報の発信元が管理を可能にするためのツール。同社は「デジタルナレッジマネジメント」ツールと位置づけている(関連記事:自社Webビジネスの“ブランドコントロール”を可能に―Yextのデジタルナレッジマネジメントサービス

 インターネットの普及に伴い、企業は新たな顧客接点としてWebサイトの作成に注力、販売やマーケティングなど多方面で活用するようになった。店舗展開している企業では、自社サイトを核に各店舗の情報にたどりつく流れを作り、顧客への情報提供に努めてきた。

 ところが、スマートフォンの登場によってその流れが変わってきた。企業名を検索し、そのホームページにいったん訪れてから、自分の近所の店舗を探す、といった手間はかけたくないのがスマートフォンユーザーだ。Googleは、店舗のブランドを検索すれば、一番近い店舗を検索結果で教えてくれるGoogleビジネスというサービスも行っている。そこには営業時間やメニューなど店舗ごとの情報やクチコミ情報も掲載されており、もはや企業サイトを訪れる理由は無くなっている。

7割以上が自社サイト以外で情報取得

 ヤマト運輸は、全国で約4000の店舗を展開している。例えば、外出先で最寄りの宅配便サービスを利用したい顧客や再配達の荷物を集配センターで受け取りたい顧客が店舗を訪れる。最寄りの店舗を探すために、ヤマト運輸は検索可能なWebサイトを用意しているが、調査によると7割以上の人がGoogle検索やGoogle Map、AppleのSiriなどヤマト運輸のWebサイト以外から情報を得ているという。

画面1:73%のユーザーがヤマト運輸のWebサイト以外から情報を得ている(出典:Yext)

 まれにあるのが、営業時間が間違っていて店舗を訪れたら閉まっていた/場所が違っていたというトラブル。検索結果が検索サイトに委ねられているので、このような事故が起こる。検索サイトの情報はクローラーなどで機械的に収集して自動生成したものやユーザーからの申告情報がベースとなっているので、必ずしも正確性が担保されているわけではないからだ。

 実際、店舗の営業時間や住所が間違って表示されていた例が、かなり確認されているという。これでは、いくら自社サイトで正確な情報を更新していっても、その恩恵に与かれるのは3割に満たない。7割以上の人に対して無策ということになる。とはいえ、本部が常にすべての店舗の検索結果を確認して、それが正しいかどうかを把握するというのは現実的ではない。店舗が自分たちの情報を管理することは可能だが、最近では情報発信源が、複数のSNSサイトや音声アシスタントなど多様化しており、日々の対応は難しくなってきている。

 ヤマト運輸が採用したYext Knowledge Managerの「Listings」というサービスは、Yextのさまざまなサービスを受ける際のクラウドプラットフォームとなるKnowledge Managerの管理コンソールに最新の情報を入力すると、Yextが契約している「パブリッシャー」(100以上の検索サイト、マップ、アプリ、SNS、情報サイト、音声アシスタントなど)のサービスのすべてに反映されるというもの。

画面2:Yext Knowledge Managerの管理画面(出典:Yext)

 これによりヤマト運輸は、どこの場所で、どの端末、どの検索サービスを利用して情報を得ているユーザーに対しても、すべての店舗の正確な情報を表示できるようになる。つまり、どのような条件でアクセスしてくるユーザーに対しても、同じユーザーエクスペリエンスを提供できるようになる。これが、ヤマト運輸がYextを採用した最大の理由だという。

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