これまで4回にわたって、イベントドリブン(イベント駆動型)アーキテクチャ(EDA)がもたらすメリットと、その導入に際してのポイントを説明してきた。最終回となる第5回では、EDAの導入効果が高いユースケースを紹介したのち、今後想定される展開(モノのサービス化とデジタルツイン)についても解説することで、本連載のまとめとしたい。
EDAの典型的なユースケース
ビジネスをイベントの流れとして扱い、イベントをリアルタイムに検知・分析しそれに対する実行が必要となるものが、EDAのユースケースとして考えられる。EDAアプリケーションプラットフォームを提供する米VANTIQでは、以下のようなユースケースを挙げている(同社のユースケース紹介ページ
●フィールドサービス管理
●サプライチェーン管理(SCM)
●リアルタイム配車管理
●セキュリティ/コンプライアンス
●スマートマニュファクチュアリング
●統合医療システム
●環境モニタリングおよびその処理
●リアルタイム顧客サービス
●スマートシティ
手始めに、フィールドサービス管理のユースケースについて見てみる。処理としては、顧客などで製品の問題が発生した場合に、速やかにフィールドサービス担当者を見つけ出し、タスクを割り当て、保守作業を行うという流れになる。
ここで必要となる機能は、まず、迅速に担当者を見つけてタスクを割り当てることである。その後、システムは担当者を目的地まで誘導し、保守作業を行う。保守作業では問題の状況により適宜、専門スタッフとやり取りを行い、最終的に保守を正常に完了させることになる。
EDAとモノのサービス化
さて、上記のユースケースについて、「別にEDAを用いなくても構築できるのでは?」と思った方もおられるだろう。本連載の第1回でも述べたが、最初からシステムへの要求事項が明確であるケースでは、EDAを採用するメリットはさほど大きくない。もちろん、アジャイル開発との親和性でEDAを使うというメリットはあるが、EDAでなければ実現が難しいという話にはならない。
そこで、EDAの採用がふさわしい領域について考える際に重要になってくる観点が2つある。1つは「モノのサービス化」である。
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