[新製品・サービス]
富士通、働き方の実態を可視化するサービス、「どんな仕事に誰が何時間かけているか」を把握
2018年11月27日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
富士通は2018年11月27日、日本マイクロソフトが提供する「Microsoft 365」のユーザーに向けて、業務内容を分類して可視化するサービス「FUJITSU Workplace Innovation Zinrai for 365 Dashboard」を発表、同日販売を開始した。価格(税別)は、1ユーザーあたり月額1200円から。販売目標として、2020年までに関連ビジネスを含めて500億円規模を目指す。日本市場を皮切りに、順次グローバルに展開する。
日本マイクロソフトの「Microsoft 365」は、OSのWindows 10 EnterpriseまたはWindows 10 Business、SaaS型オフィスアプリケーションスイートの「Office 365 EMS(Enterprise Mobility+Security)」で構成されるビジネス環境向けのサービスである。企業でMicrosoft 365を利用することによって、メールや文書のタイトル、スケジュールなどのデータに加えて、PCの利用状況データがクラウドサービスのMicrosoft Azure上に蓄積されていく。
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富士通の「Zinrai for 365 Dashboard」は、これらのデータを自然言語処理技術や知識処理技術を用いて解析し、業務内容を分類して可視化する(図1)。富士通では、Zinrai for 365 Dashboardの導入支援や、働き方改革に向けたシナリオ作成のコンサルティング、導入後の継続的な効果のモニタリングまで、ユーザーの働き方改革を総合的に支援する。
Zinrai for 365 Dashboardを使うと、「どのような仕事に、どれだけの時間を費やしているか」を把握できる。このための仕掛けとして、業務内容を、「作業」、「対象」、「テーマ」の3つの角度から解析する(図2)。また、データを可視化するBI(ビジネスインテリジェンス)ソフト「Microsoft Power BI」と連携し、解析結果を可視化して多角的に分析できるようにしている。
サービス提供に先立ち、2018年7月から富士通社内で実践した。具体的には、富士通社員約2000人のMicrosoft 365のデータやPCの利用状況から、社員ひとり一人が「どのような作業を、どのような目的で、誰と行っているか」を軸に業務内容を分類し、「どのような仕事に、どれだけの時間を費やしているか」を可視化し、さらにダッシュボードで分析、評価した。
先行して実践した部門では、課題として見えてきた会議やコミュニケーションスタイルの見直しに取り組み、1人あたり平均で1日あたり43分の時間を創出した。これにより、企画業務などに注力することが可能になり、業務全体のうちコア業務の割合を16%増加させた。
製品提供の背景について同社は、働き方改革の取り組みが急速に進んでいることを挙げている。「一方で、どのような仕事に、誰が、どれだけ時間を費やしているかといった働き方の実態を把握する仕組みや、生産性向上に向けた取り組みの効果を定量的に把握・検証する仕組みが乏しかった」(同社)。
今後は、Zinrai for 365 Dashboardと、コミュニケーション状況や時間の使い方を分析するサービス「Microsoft Workplace Analytics」を連携させる予定である。これにより、会議や日常のコミュニケーションの質を高めることができるとしている。