日立製作所と日立オートモティブシステムズは2018年12月13日、産業機器や自動車の自動運転用制御システムにおいて、システム上で動くソフトウェアを高速に変更する技術を開発したと発表した。
日立製作所と日立オートモティブシステムズによると、制御システム上で動くソフトウェアを高速に変更できる技術によって、制御システムの機能変更や追加、また、万が一の異常発生時においても、ソフトウェアを高速に上書き修正できるようになる(図1)。システムを停止することなく動作を継続させたままソフトウェアを上書きできるため、産業機器や自動車の自動運転時の安全性や信頼性が向上する。
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制御システムの自動運転中に、外部センサーからの入力情報や、入力情報を判断し次の動作を決めるための計算値を、バックアップ領域に保存する。制御システムの機能を変更する場合には、バックアップ情報を用いて、入力情報の再生や、次の動作を決めるための計算値の上書き修正を、高速に実施する。
開発の背景について同社は、制御システムの機能を柔軟に変更することが困難であることを挙げる。これを解決するため、ソフトウェアを主体とする機器制御技術の知見を生かし、産業機器や自動車の自動運転用に、ソフトウェアにより制御システムの機能を柔軟に変更できるミドルウェア技術を開発した。
今回、日立と日立オートモティブシステムズは、1/10スケールの実験車両で自動運転を模擬し、本技術を検証した(写真1)。CPUの故障が発生して機能の変更が必要な状況を模擬するため、実験車両の試験走行時にソフトウェアの停止命令を発行した。
疑似的に制御システムに異常を発生させても、ソフトウェアを修正して制御を開始するまでの時間が、従来比約7倍に高速化した。安定した走行制御を継続できることを確認した。
今後、日立は、実証実験などを行い、産業機器や自動車などのモビリティシステムへの適用を目指す。また、日立オートモティブシステムズは、本技術を搭載した自動運転ECUの製品化について、日立との連携の下で検討し、自動運転システムの普及拡大を目指す。